これが宿坊…?アーティストSHETAとコラボした高知のお寺がキュートすぎる!
コロカルニュース
■1300年の歴史をもつ四万十町〈岩本寺〉へ 高知県といえば坂本龍馬像がたつ桂浜や仁淀川ブルーなどの有名観光地が思い浮かびますが、今回はディープな旅先、四国最長の四万十川(しまんとがわ)近くにある四万十町を訪れてみました。 【写真で見る】これは圧巻! 本堂の天井を575枚の絵画で彩る『天井絵』。 本流に大規模なダムがないため「日本最後の清流のまち」とも呼ばれるこの地には、1300年の歴史をもつ古刹〈岩本寺(いわもとじ)〉があります。お遍路さんが巡る「四国八十八ヶ所霊場」37番目の札所(ふだしょ)として知られています。 門をくぐると、お寺とは一見不釣り合いなポップ・アートが目に飛び込んできました。 「LOVE & PEACE」をテーマに、親しみとユーモア溢れる表現で注目を集める湘南出身のアーティスト・SHETA氏のイラストです。〈COACH〉や〈STAR WARS〉とのコラボ、ミュージシャンのCDジャケット、グッズなどのイラストを手がける注目のアーティストの作品が、なぜお寺に? 聞けば、境内のみならず四万十町の6か所に彼のオリジナルアートが点在し鑑賞できるとのこと。 朗らかな笑顔で出迎えてくれたのは、室町時代から数えることなんと31代目住職の窪博正さん。斬新な旅の取り組みにチャンレンジしている四万十町のキーパーソンです。 〈岩本寺〉がお遍路の札所、つまり空海(弘法大師)ゆかりの仏教寺院となったのは平安時代。中世に一度廃寺したものの室町時代に窪さんのご先祖さまが引き継ぎ、長い月日が流れていまに至ります。隣の札所(ふだしょ)から距離があるため、昔から数多くのお遍路さんたちが宿坊として旅の疲れを癒やしてきました。 「お寺をより親しみやすくアピールできる策を探していたときに、当時人気に火がつく直前だったSHETA君をご紹介いただき、作風がぴったりでいいんじゃないかなとお願いしました。 実際にお遍路さんをインタビューしてもらい、そこからイメージしたものを描いていただきました」(窪住職) ■お遍路をイメージ!キュートなSHETA ROOM 〈岩本寺〉の宿坊9部屋のうち1部屋は、「SHETA ROOM」に変身。仏様を象徴する白、赤、黄金、緑、紫の5色で彩ったハートのモチーフたちが楽しげに歩いているように見えるイラストは、見るだけでワクワクしてきます。「ハートはお遍路さんを象徴しています。人の心が積み重なってお遍路ができていること、四万十川の水がお遍路さんの心を浄化してくれるさまが表現されています」(窪住職) 「仏様という存在ははるか遠くにいるのではなく、皆さんの側にいらっしゃるというのが仏教の考え方。お遍路の最中は仏様が側にいらっしゃるのです。お遍路さんが歩いた道は、つまり仏様が歩いた道でもあります。そのことをSHEATA君が素敵なイラストにしてくれました」(窪住職) ほかにも〈岩本寺〉では斬新な取り組みがたくさん。宿泊者に向けた「寺サウナ」や、宿泊者以外のお客さんでもリクエストに応じて希望の場所へと送迎する「寺トゥクトゥク」、四万十川の浅瀬で行う「水中坐禅」、各季節ごとに境内で開催し毎回400名以上の来場者を集める「しまんとマルシェ」など、お寺の枠にとらわれないユニークな体験ができます。 「水中坐禅って意外とリラックスできるんですよ。穏やかな四万十川は水の流れや揺らぎが一定なんです。それを身体で感じることで集中力が増して瞑想がはかどります。天気が良くて寒くない日はお寺で申し込んでもらえれば体験できますので、ぜひトライしてほしいですね」 「お寺に興味がない人たちにも足を運んでもらうきっかけとなれば」との想いから、「どこのお寺でもやっていない、ここだけの体験」を常に模索してきた窪住職。「これによってお寺を訪れるお遍路さんの人数が直接的に増加したわけではないですが、『変なことをやってるお寺や坊さんがいるから寺に行ってみよう』という参拝者が増えたなとは感じています(笑)」