登山者を待っている側も安心! 「本当にあった」に学ぶ、登山のリスクヘッジ【vol.09 ピンチを救うかもしれない通信機能編】
登山アプリYAMAPの「みまもり機能」
最も利用者が多い登山アプリ、YAMAPには、「みまもり機能」という位置情報共有システムがあります。 この機能をONにした登山者同士がすれ違うと、お互いの位置情報が自動的に記録・交換され、携帯電話の圏外にいても、オンラインになった時点で、そのデータがYAMAPのサーバーに送られて自動的に記録が残るというもの。 万一、アクシデントが起きて、行方不明になった場合に、救助隊が捜索をする際に位置情報のデータが役立ちます。 この機能によって、命が助かった事例をひとつ。登山が好きで週に2、3回は一人で山へでかける父に、YAMAPの利用を勧め、みまもり機能の設定をしてあげたAさん。 あるとき父が滑落して動けなくなり、救助を要請する事態に。AさんがYAMAPの「みまもり機能」による位置情報を消防に伝えたところ、約40分程度で航空隊が現場へ到着。大けがをして、低体温症になりかけていたものの、一命をとりとめることができたそうです。 事前に登録した家族などのメールアドレスに、随時位置情報が送られるので、何もなくても、「待っている人」も安心できる機能です。 かつては、すれ違った登山者同士のみの位置情報が交換されるだけでしたが、現在はシステムそのものがアップデートしていて、お互いがすれ違うまでに出会った他のユーザーの位置情報もまとめて交換できるようになりました。従来の「1対1の交換」ではなく、「複数人対複数人の交換」になるため、位置情報の共有率がぐっと高まり、万が一行方不明になったときに、救助される可能性が大きく向上します。まさに「命を救うツール」かもしれません。
ヤマレコ「いまココ」機能で位置情報がわかる
登山アプリ「ヤマレコ」には、登山者の位置情報、計画書、予定ルートを家族や仲間と共有できる機能があります。 位置を確認したい人(家族・友人など)が事前に登山者の認証コードを取得しておけば、リアルタイムでどこにいるのかわかるので、自宅にいる家族も安心。山で待ち合わせをする際に、お互いがどこにいるのかを知ることもできるので、便利です。 これらはいずれも、事故発生そのものを防止する機能ではありませんが、万一のときに、リスクをそれ以上大きくしないために役立つものです。 人は誰しもミスをする可能性があります。山岳遭難をゼロにすることは不可能ですが、少しでもリスクを低減するためにかなう限りの準備をしておくことは大切だと思います。
根岸真理