登山者を待っている側も安心! 「本当にあった」に学ぶ、登山のリスクヘッジ【vol.09 ピンチを救うかもしれない通信機能編】
管理された公園や施設で行うスポーツとは異なり、自然の中で活動する登山などのアクティビティには、リスクがつきものです。想定外の天候急変や沢の増水、転倒や滑落、落石、道迷いもあるかも? 【写真】万が一遭難しても安心できる山岳遭難対策制度やアプリを見る(全9枚) フィールドでのリスクを避けるにはどうすべきか。このシリーズでは、筆者が実際に体験した実例も踏まえてリスク回避について解説します。今回は、万一の時に役立つかもしれない、位置情報と通信機能について。
遭難時に心強いサポート「山岳遭難対策制度(ココヘリ)」
万一行方不明になったとき、ヘリコプターやドローンを活用して迅速に捜索し、救助につなげる「ココヘリ」。専用の発信機を携行することにより、携帯電話が圏外の山域であっても、ヘリやドローンに搭載した受信機によって捜索してもらえるサービスです。 筆者も、運用開始とほぼ同時に加入し、ずっと会員継続しているのですが、最近サービス内容が大きく変化し、より安心できる制度になりました。 ヘリによる捜索のみならず、民間の捜索救助組織の手配にも対応。山に精通したオペレーターによる関係各所との連携により、3時間以内に86%発見という実績があります。 わずか20gの発信機は、最大16kmまで電波を飛ばすことができて、目視による捜索とは比べ物にならない高い発見率につながっています。航空会社との提携ネットワークにより、全国の山岳をカバー。各都道府県の警察・消防がココヘリ受信機を搭載するケースも増え、現在では39都道府県で導入されているそうです。 筆者は、ヘリ捜索をされた経験はさすがにありませんが、ココヘリの端末は〝登山のお守り〟のような感覚で携行しています。 近年はトレランの大会などで携行が義務化されているケースも増えてきているので、利用したことのある人も増えてきているのではないでしょうか。 既存の発信機と比較して、捜索時間を大幅に短縮できるGPS搭載の最新モデルもリリースされて、さらにパワーアップしています。 現在のココヘリは、24時間365日対応のコールセンターがあって、家族が山から帰ってこないという場合にいつでも相談できる点も安心要素のひとつ。また、ココヘリがヘリコプターや民間の捜索救助組織への手配もすべてやってくれて、年間550万円までは費用負担なしでカバーされます。自分のみならず、家族の安心につながる点がとてもよいと思っています。