愛知・食文化の魅力学んで「ミツカン」が酢の体験型博物館
酢づくりの歴史をお伝えします──。日本唯一の「酢の総合博物館」として親しまれた愛知県半田市の博物館「酢の里」が、今月約2年間の工事を経て「ミツカンミュージアム」としてオープンした。酢づくりの歴史や醸造の技術、ものづくりへのこだわりや食文化の魅力などをガイドツアー方式で学べる体験型博物館に生まれ変わったという同館はどのような変化を遂げたのだろうか。
酢を運んだ全長20メートルの「弁才船」など展示
愛知県半田市で1804年(文化元年)に創業し、200年以上の歴史をもつミツカングループ。同社がプロデュースし1986年、半田運河沿いに開館した博物館「酢の里」が、2013年11月の閉館から約2年間の工事を経て、8日に「MIZKAN MUSEUM(ミツカンミュージアム)」に生まれ変わった。2階建てで、延床面積は酢づくり生産エリアも含め、スケールは「酢の里」の2倍だという。 同館ではミツカンの酢づくりの歴史や、醸造の技術、ものづくりへのこだわり、食文化の魅力などをガイドツアー方式で紹介。江戸時代と現在の酢づくりを紹介する「大地の蔵」、半田の情景を感じる「風の回廊」、ミツカンの歴史をたどる「時の蔵」など、5つの見学ゾーンとショップで構成されている。 時の蔵では、江戸時代に酢を半田から江戸まで運んだという全長約20メートルの「弁才船(べざいせん)」を再現。弁才船の甲板の上からは正面の大型スクリーン映像で迫力ある航海の雰囲気を体験できる。風の回廊では、半田の山車31台分の法被をモチーフにしたのれんが並ぶなど、当時の人たちの息吹を感じることもできる。
自分の写真ラベルの「マイ味ぽん」も
ミツカングループ広報の古川さんは「食の魅力を楽しく学んでもらえるように、体験型のステージを増やしました」と説明する。食をテーマにした体験ができる「光の庭」では、すし職人の衣装を着て、粘土でつくったシャリとシリコン製のすしネタで握りずしづくりができるほか、身体を動かしながら学べるゲームや、自分の写真をラベルにした「マイ味ぽん」作りなどで楽しめる。 同施設は建物としても様々な工夫が。徹底的に環境に配慮しており、井戸水や太陽光温水の熱エネルギーを空調に利用したり、窓から伝わる暑さや寒さを和らげるため二重窓を設置しているのも一例。また、半田の昔ながらの街並みを残したいという考えから半田の代表的な風景のひとつであった煙突を設置し、自然換気として活用している。 古川さんは「当館を通じて、お酢をより身近に感じてほしいです」と。また、「未来につなげる施設として、特に子育て世代の家族連れに来てもらいたいですね」と話していた。 (編集プロダクション エディマート)