ヤマハ「YZF-R15」インプレッション|YZF-R125と乗り味を比較、原付二種からプラス30ccの余裕が生む爽快パフォーマンス!
マルチに使えて楽しい155ccが生むゆとり
排気量150cc前後のロードスポーツは、オートバイの世界最大市場であるアジア圏で最もメジャーな存在。日本ブランドに加え、中国、インド、タイ、台湾・韓国などの地元メーカーが続々と新型車を投入して活況を呈している。『R15』も当初はインド市場向けに開発されたモデルで、日本仕様はヤマハのインドネシア工場で生産されている。 【写真はこちら】「YZF-R15」全体・各部・走行シーン 車体は原付二種区分のYZF-R125とほぼ共通で、エンジンのシリンダーボアを6mm広げて排気量を155ccにアップ。道路交通法では軽二輪自動車に区分されるため必要な免許や自動車税、自賠責保険料は排気量250ccのYZF-R25と同じながら、250cc・2気筒エンジンのR25より車重が28kgも軽く、車両価格も約14万円安い。高速道路を走れて、しかも125ccモデルなみに手軽で安価なことがR15ならではの特徴だ。 R125と交互に試乗して最も違いを感じたのは市街地で多用する30~60km/hでの力強さ。R125はドリブンスプロケットを4丁増やして2次減速比をショート(加速型)に設定してあるのでゼロ発進での差は意外に少ないが、その分だけ高回転を多用し、変速回数も増える。確かに操作する楽しさはあるものの、発進/停止を繰り返す市街地ではせわしなく感じるのも事実。 対してR15はパワーに余裕があり、各ギアの守備範囲が広い。市街地の速度域では4速に入れておけばスロットル操作だけで流れに乗れてしまう。 R15の購入を検討しているライダーが気になるのは高速道路適性だろう。正直、余裕を持って走れるのは100km/hまで。最高速という点では、伏せ姿勢をキープしてレブリミッターが効くまで回し切れば、メーター読みで140km/hを超えることがあるのかもしれないが、現実的な乗り方、状況での120km/hクルージングは厳しい。ただ、高速道路に乗れることは都市高速のある場所に住む者にとって大きなアドバンテージ。一般道の渋滞や遠回りを回避でき、移動時間の短縮にも繋がる。 ハンドリングと乗り心地はR125と同じで、141kgの車重から想像するヒラヒラ感は薄い。フロントタイヤの接地感が高いので不安がなく、コーナリングで大きな荷重が掛かるとリアサスペンションがしっかり踏ん張ってくれる。このあたりの感触はフラッグシップモデルのYZF-R1に通じるものがある。 高速道路で行動範囲が広がり、市街地走行も楽。ミニサーキットでも存分に楽しめるマルチユースさが魅力だ。
太田安治