〔女性外来を訪ねて〕更年期症状も不登校も。心と体は「食事」で変わる
〔連載〕天野惠子先生のすこやか女性外来
日本の女性医療、性差医療の先駆者で、ご自身の更年期体験も山ほどお持ちの、天野惠子先生の連載「すこやか女性外来」。今回は、天野惠子先生が推薦する全国・女性外来を紹介します。
広瀬内科クリニック女性外来 廣瀬玲子先生 更年期症状も不登校も。心と体は食事で変わる 栄養指導を軸に漢方薬や温熱療法で対応
廣瀬玲子先生(ひろせ・れいこ) 広瀬内科クリニック副院長。京都府立医科大学卒業。岐阜大学医学部附属病院等の産婦人科を経て2002~20年岐阜県立岐阜病院(現岐阜県総合医療センター)等で女性外来を担当。診療の傍ら思春期や女性医療関係の講演・相談活動、不登校支援、大学での講義、地域の高齢者医療等にも力を注ぐ。
鉄欠乏やたんぱく質不足がイライラやうつの原因に
産婦人科を経て女性外来で約20年。その間、出産・育児を経験し、学校や地域との関係も広げてきた廣瀬玲子先生。不登校支援にも力を入れ、女性医療・地域医療に打ち込んでいます。 そんな廣瀬先生が診療の軸に置いているのが、栄養指導です。「イライラ、うつ、不眠などの患者さんに血液検査を行うと、たいてい鉄やたんぱく質不足、血糖値の乱れが見つかります。栄養はメンタルにも大きな影響を及ぼします。たとえばうつも、対人関係にメスを入れるより食事を整えるほうが解決の早い場合があるのです」(廣瀬先生)。
血液検査の結果を示して「この栄養が足りてきたから体調がよくなったのです」と食の大切さを数値で示せるのも栄養指導の利点です。軽症であれば、朝食を摂る、毎日卵を食べるなど簡単な心がけで改善が見られることも。より専門的な対応が必要なケースには管理栄養士による栄養相談も実施しています。
更年期症状も栄養指導、漢方薬、温熱療法で
更年期に子どものひきこもりや不登校問題が重なることは珍しくありません。廣瀬先生が行う不登校支援のベースにあるのも母親への栄養指導です。
「母親が自身の食事を整えて元気になれば子どもの栄養に気を配る余裕ができます。遠回りのようでも、それが子どもの心身の安定につながると考えます」。
更年期症状にはホルモン補充療法や漢方薬も用いて対応します。患者に人気なのは、赤外線で全身を温める温熱療法。「カプセルに10分入ると温泉に30分入ったくらいの効果があるとか。体調がよくなるだけでなく免疫力アップも期待できます」。