【解説】北海道南西沖地震から30年…北海道でおきる多様な地震活動 日高山脈付近の“震源深い地震”が多い理由とは
■気象庁 津波予報改善 地震発生5分から3分へ短縮
北海道南西沖地震をきっかけに、気象庁は地震発生から津波予報発表までの時間短縮を目指しました。地震観測網の整備に取り組み、全国約180か所に、60キロから70キロ間隔で新たな地震観測点を配置しました。その後も、技術改善を進めた結果、現在では地震発生から3分、早い所では2分で津波警報や注意報を発表しています。 ただ、震源が陸地に近い場合、警報・注意報の発表が津波襲来に間に合わないことがあります。強い揺れを感じたらすぐに高台に避難することが重要です。
■北海道太平洋側ではM7以上の地震多発、1993年には太平洋側でも大地震
これまでも北海道周辺の太平洋側ではマグニチュード7以上の地震が繰り返し発生しています。実は、北海道南西沖地震が発生した1993年には、「釧路沖地震」がありました。この地震は1993年1月15日、釧路沖を震源とするマグニチュード7.5、震源の深さ101キロというものでした。この地震では釧路市で震度6を観測。プレート内部で発生した地震で、震源が101キロと深かったため津波はありませんでした。
■プレート境界で巨大地震が繰り返し発生
北海道の真下には陸のプレート「北米プレート」があり、その下に海のプレート「太平洋プレート」が1年で数センチずつ沈み込んでいます。太平洋プレートの浅い部分は陸側のプレートと強く固着していて、引きずり込まれる動きがある程度進むと陸のプレートが耐えられなくなります。すると、突然陸のプレートが跳ね返り、大地震となります。これが「プレート境界地震」です。
■遠く離れた南米の地震でも 北海道で津波
北海道では、千島列島や、さらに遠く離れた海外で発生した地震でも、津波に襲われる事があります。1995年12月、択捉島南東沖でマグニチュード7.3の地震が発生し、根室で30センチ以上、釧路で20センチの津波を観測しました。また、2015年9月に南米・チリでマグニチュード8.3の巨大地震が発生した時には、北海道の太平洋沿岸から九州までの広い範囲で津波注意報が発表され、北海道のえりも町では、50センチの津波が観測されました。