「本質をちゃんと伝えたい」快進撃を続ける横浜FCユース監督・和田拓三氏の、ニアゾーンのとり方と育成年代への注意点とは
<テーマ4>ポジション別のニアゾーンのとり方【2】
|相手のSHとSBをどれだけつり出せるかが、大事になる ―ウイングの選手がニアゾーンをとりに行くアクションに対して、強調していることはありますか? 和田 外側でサイドバックを基点にした上で、ウイングが内側に入った状態からインナーラップすること(図4)です。あとは、ウイングによるドリブル突破(図5)も強調しています。ウチは、ウイングとサイドバックの関係性が良いので、そこで縦のワンツーもできます。でも、ウイングの選手は、どうしてもカットインしたがる傾向にあります。 ―わかる気がします。 和田 それが強みになれば、問題ないのですが、「相手にとって嫌な場所をどうやって突くかを考えなさい」と常に話しています。ウイングとサイドバックの関係性によって、サイドバックが内側に入って、ボールを受けた場合は、シンプルに1本の縦パスで出ていけます。相手のサイドハーフとサイドバックをどれだけつり出せるかが、大事になります。 個人で突破して中に潜っていくところは、日本代表の三笘薫選手(ブライトン=イングランド)や伊東純也選手(スタッド・ランス=フランス)のようなイメージです。この場所でパスを使わなくても突破できるのは、チームにとって大きいです。1人でここをとれる選手がより重要になっていくと思います。
―インサイドハーフやボランチがニアゾーンをとりに行く際に求めるのは、どういったことでしょうか? 和田 インサイドハーフやボランチが上がっていくことのリスクを考えつつ、「フォワードが相手のセンターバックを止めている場合は、積極的に入っていきなさい」(図6)と伝えています。ただし、ボランチがニアゾーンへ入ったときにやり直すようだと、飛び出した意味がなくなるので、クロスやシュートで終わるようにすることを要求しています。 ―そこでボールを奪われると危険です。 和田 ですから、「必ず、ゴールに向かうプレーで終わりなさい」と言っています。この場合も出ていくタイミングが早すぎると、手前で奪われた際のリスクが大きいので、チャレンジする中で、個々のバランスを見つけてほしいところ。ただし、どちらかと言うと、ボランチがハーフレーンでボールを受けた場合は、フォワードがニアゾーンを突くケースが多いです。