「地震が怖いのではなく、建物や家具の下敷きになることが怖い」家の中の地震対策は万全ですか?(専門家が監修)
連載「ジャングルブック」では、都市でも自然でも、いざという時の役に立つ“生き抜く力”にまつわる知恵を紹介。今回のテーマは「家の中の地震対策」。[監修・取材協力/伊澤直人(週末冒険会代表)]
家の中の地震対策
率直に問う。自宅の地震対策は万全だろうか? 万が一の場合、死傷するリスクを最小限に抑えるための転倒対策は必須事項だ。 重要な視点は、「なぜ地震で死傷してしまうのか」ということだ。地震は恐ろしいものではあるが、単に地面が揺れただけでは、人間は死なない。周りにある建物や家具が倒れ、飛散し、それに巻き込まれる形で死傷してしまうのが直接的な被害であって、地震はきっかけにすぎない。 地震が怖いのではなく、建物や家具の下敷きになることが怖いのだ。この根本をしっかりと理解し、正しく恐れることができると、家の中のリスクがよりクリアに見えてくる。 そのうえで大切なのは、基本を忠実に守り、単純なことほど真面目に取り組むこと。地震対策は、正しくできていないと効果が半減してしまうものも少なくない。すでに対策済みという人も、いま一度、家の中を見直してみよう。
確実かつ正しく行いたい、家具の転倒対策
阪神・淡路大震災では、負傷の原因は家具・家電の下敷きが46%、飛散したガラス類が25%。家具の転倒防止や棚のロックは数ある地震対策の中でも必須事項である。 注意点として、よく見掛ける突っ張り式などは家具と天井に十分な強度がないと転倒防止効果が薄れる。ストッパー式やマット式など複数を組み合わせると強固になる。
家具が倒れる方向に寝ない、居ない、過ごさない
家具は基本的に長辺の方向に倒れやすい。その先にベッドやソファを配置していると、押しつぶされる可能性が必然と上がってしまう。 また、倒れた家具がドアを塞ぎ、閉じ込めが発生することも大きなリスク。そのようなレイアウトになっていないか、いま一度確認を。家具の配置ひとつだけで、生死を分けることもあると心得よう。
窓ガラスには飛散防止のフィルムやカーテンを
震度5弱以上の大きな地震では、窓ガラスが割れるリスクが大きく高まるといわれる。スリッパや素足で過ごしているなか、飛び散ったガラスで足を怪我してしまうと、逃げ遅れに繫がることも。 少し厚手のカーテンに替えるだけでも対策になるが、できれば飛散防止のフィルムをガラスの内側に貼っておくと、さらに安心だ。