“すべては眠りのため”ホテル「レム」に見る本気度 発祥は日本、加速する「進化系ビジネスホテル」
ビジネスホテルのブームは、高度経済成長期に入った1960年代後半、出張需要の高まりとともに訪れました。 1970年代後半になると、「東急イン」「ワシントンホテル」「ホテルサンルート」などのチェーンが誕生し、全国展開を加速させます。従来の旅館とは異なり、宴会場や会議室、レストランなどの設備を最小限に抑え、「宿泊に特化」した点が特徴でした。 これが現代的なビジネスホテルの原型となり、現在に至るまで日本の宿泊業界において重要な役割を担っています。特に、バブル崩壊後の1990年代になると、「ホテルルートイン」「アパホテル」「東横イン」に代表されるようにコストメリットを武器に勢いを増しました。
2000年代に入ると、客室グレードなどを高めた「三井ガーデンホテルズ」「リッチモンドホテルズ」「ダイワロイネットホテルズ」「ホテルグレイスリー(藤田観光)」の開発が全国的に進みます。 近年では、コアグローバルマネジメントやネストホテルなどの新興系のホテルの活躍が目立ってきています。 ■進化系ビジネスホテル 最近は、シティホテル並みの高級感を出した「進化系ビジネスホテル」が増えています。 その理由は2つあります。
1つ目の理由は、ホテル経営者目線からいうと、ビジネスホテルはまっとうにやれば堅実な利益が出るビジネスモデルであることです。 そして2つ目が、マーケットの回復です。「女性の1人旅」や「インバウンド客」などの新規需要が後押しし、稼働率一辺倒から客室単価の向上へ戦略転換が進んでいます。 「単に泊まるだけのホテル」からの脱却が最重要課題となっているのです。機能やサービスを充実させて差別化する動きが相次いでおり、「滞在を楽しめる」ことに需要が高まっています。
この動きはアッパーアップスケール(高級価格帯ホテル)とアップスケール(上級価格帯ホテル)において、開発が活発になってきています。高級ホテル並みのデザインや質の高い什器類、飲食施設は持たず、あくまでも客室の販売に特化した戦略です。 ■業界で話題になったホテル 次に、進化系ビジネスホテルとして、業界で話題になったホテルについて、そのキーワードとともに説明していきます。 眠りをデザインするホテル「レム」 阪急阪神ホテルズが展開する宿泊主体型ホテルブランドに「レム」があります。お客様に五感を通じて「よい眠り」を実感していただけるよう、ホテルエントリーからチェックアウトまで、すべてが眠りのためにデザインされたホテルです。