百歳の廣島さん、平和の尊さ伝える 子どもらに戦中戦後の苦労語る 徳之島伊仙町
鹿児島県徳之島の子どもたちが郷土学習やキャリア教育に取り組む「いせん寺子屋」(伊仙町社会教育課主催)が10日、伊仙町農業支援センター(旧徳之島農業高校)で開かれた。町内の小中学生と保護者約20人が受講。今年100歳を迎えた同町木之香在住の廣島員代さんが戦中、戦後の混乱期の経験を語り、平和の尊さと信念を持って生きることの大切さを伝えた。 廣島さんは1944(昭和19)年に満州へ渡り終戦を迎えた。46年に日本に引き揚げた後、一時は徳之島で過ごしたが、奄美群島が米軍統治下にあった50年に鹿児島へ密航。美容師免許を取得後に大阪に移住、97年に帰郷した。現在は木之香に住み、伊仙町榕樹短歌会などに所属して短歌、川柳、詩の創作に励んでいる。 児童生徒を前に廣島さんは「満州ではロシア軍に見つからないように隠れたりした。苦労は多かったが開拓団の人たちに比べればましだった」「密航で鹿児島に着いたが逮捕され、生活のために島から持ってきた砂糖や白紬を没収された。身体一つで美容師の修業をした」などと振り返り、「貧しかったがくじけなかった。信念を持って生きていればお天道さまが助けてくれる」と感謝も述べた。 受講した面縄中学校の生徒は「夏休みの自由研究に役立てるために受講した」と話し、「敗戦後に満州から引き揚げてきた人たちの苦労を具体的に知ることができた。貧しさ、苦しさの中でも感謝の念を忘れずに頑張った廣島さんの話に勇気を分けてもらえた」と感想を語った。