なぜ「ティモンディ」高岸宏行の独立リーグ栃木GB入団が決まったのか…「芸人の球じゃない」トライアウトで見せたフォークと修正能力
独立リーグのルートインBCリーグに所属する栃木ゴールデンブレーブスは19日、都内でお笑いコンビ「ティモンディ」高岸宏行(29)の入団会見を行った。“名門“済美高出身でプロを目指したこともある高岸は、栃木からのオファーを受けて6月に仕事の合間を縫ってトライアウトを受験。最速138キロのストレートとフォークを武器にチームのレギュラー選手から三振を奪うなどの内容を見せ「戦力になる」と判断され、異例の契約が実現したもの。シーズン途中の入団だが、「やればできる!」がキャッチフレーズの高岸の”本気”がどこまで通用するか注目が集まる。
「何歳でも挑戦に“遅い“はない」
チームのチアの応援をバックに背番号「16」のユニホームを着て登場した高岸の大音量の声に会見場が華やいだ。 「野球を通じて元気、感動、勇気を与えるチームの一員になれたこと、その一員となって応援できることがとても幸せ。10年ぶりの実績復帰ですが、何歳でも挑戦に“遅い“はない。姿勢でもプレーでも皆さんに届けられればと。(トライアウトの)1日を通して感じたのは、本当に命をかけて人生を捧げて野球を通じて地域を元気にしようという姿勢。地域の皆さんにも愛されている。ウインウインのハッピーな組織。ワクワクしかない。肩書は、なんであれ、人生のすべてが応援と決めている」 これが、最近ではNHKの大河ドラマにまで俳優として抜擢されるようになったお笑いコンビ「ティモンディ」高岸の魅力なのだろう。 会見では冒頭に約15分間の密着映像が流れ、入団の経緯と、6月に行われたトライアウトの様子が明らかになった。 栃木は、これまでも巨人を戦力外になり、NPB復帰を目指していた村田修一氏と契約するなど、選手の夢のサポートと地域のファンを喜ばせるための挑戦に積極的に取り組んできた。今回は、投手総合コーチ兼選手の元千葉ロッテの成瀬善久(36)とのプライベートな交流がきっかけとなって、球団からのオファーがなされたが、元プロとは違い「戦力になるかどうか」が条件で、それを承諾した高岸は、仕事の合間を縫って本拠地の小山を訪れトライアウトに挑んだ。 内容はシート打撃。チームでレギュラーを張る2年目の谷田部翔太内野手(24)、3年目の佐々木斗夢外野手(25)の2人の打者と計5打席真剣勝負をするというもの。 最初の打者、谷田部への初球は138キロのストレート。全球ストレートでボール3となったが、4球目のストレートに谷田部が手を出してセンターフライ。球威で押しこんだ。続く佐々木には136キロのストレートをレフト前にヒットされたが、走者を置いた想定では、クイック投法も器用に操り、谷田部をショートゴロに打ち取った。 4打席目の佐々木もサードゴロに抑えると、圧巻は谷田部との最終打席だった。フォークとストレートで追い込むと最後は落差のあるフォークで空振りの三振に取ったのだ。 谷田部は日大三高出身でチームネイトが広島のクリーンナップを打つ坂倉で、立正大時代には明治神宮大会で全国制覇した2年目のショートストップの左打者。今季の成績は、38試合で打率.207、1本塁打、7打点と、どちらかというと守備の人だが、粘り強い打撃が身上。その谷田部からスイングアウトを取ったことを成瀬氏は「練習もしていないのにフォークで三振を取れるのは魅力。ノビシロしかない」と評価した。 谷田部は、「緩急もあるし、(188センチの長身で)それなりに見下ろされる感じもあった」と、そのボールの角度を称え、佐々木は、「ボールが動く。(右打者の)僕に向かってくる感じで、日本人ぽくない性質」と、そのボールの質に驚いていた。 受けた捕手の叺田本気(23)は「芸人さんが投げるボールじゃない」と絶賛。