えっ、いま舌打ちされた!?…月収90万円だった67歳元商社部長、40歳年下のバイトリーダーに見下されても「時給1,200円」で大晦日まで働く理由【FPが解説】
大晦日「おっさん、ちんたらすんな」
勤務先は山間部にあるホテル。配属先は洗い場、調理補助、客室清掃などの裏方業務です。デスクワーク歴43年の亀井さんにとって、フィジカルな仕事は想像以上に過酷でした。また、亀井さんが働き始めたのは、12月の初旬。年末年始はこのホテルが1年で最も忙しい繁忙期です。慣れない環境に心身の疲労もピークに達し、ついに大晦日の午後、失態を犯してしまいます。 「おっさん、ちんたらすんな。チェックインに間に合わねーぞ!」 すれ違いざまに20代のガテン系バイトリーダーから「……チッ!」と聞こえました。「えっ、いま俺、舌打ちされたのか? あんな40も年下の子に?」と亀井さんは動揺を隠せません。単純作業だと甘くみていましたが、教わったことが覚えられず、要求されるスピードについていけないのです。なんとか2ヵ月の契約期間を死に物狂いで乗り切りましたが、「こんな生活を続けるなんて無理だ」と悟ります。 三食しっかり食べられて、家賃光熱費は会社持ち、そのうえで給与が出るなんて最高だと思っていましたが、現実は厳しかったのです。時給換算すると1,200円。2ヵ月働きつづけて手元に残ったのは30万円ほど。頑張った自分を褒めてあげたいですが、これは続けられないと痛感した亀井さんでした。
高齢者の経済状況と就労の現状
総務省「家計調査年報」(2023年)によると、単身の65歳以上無職世帯の1ヵ月の支出は14万5,430円、そのうち住居費は1万2,564円です。この住居費の金額からみて、持ち家がないと、この金額で暮らしていくのは厳しい状況だといえます。 内閣府の「高齢者の経済生活に関する調査」によれば、高齢者が仕事をしている理由として「収入がほしいから」が45.4%で最も多いです。つまり、経済的な理由で働かざるを得ない高齢者が少なくないのが現状です。 亀井さんのように、定年後も働き続ける高齢者が増えている背景には、年金だけでは生活が厳しい経済状況があるといえます。特に、持ち家がない場合や離婚などで資産が減少した場合、老後破産のリスクは高まります。
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