初めての世代別代表で新たな発見。ブラジルにルーツを持つ守護神が、矢板中央初の日本一を期して最高の準備を進めていく
サッカーに向き合う姿勢がさらに高まった
186センチの身体を目一杯伸ばすと、リーチの長さがよく分かる。柔軟性に秀でており、軽やかな身のこなしでシュートを防ぐ。今季の高体連でトップクラスのGKであるのは確かだろう。 【画像】堀北・ガッキー・広瀬姉妹! 初代から最新20代目の月島琉衣まで「選手権・歴代応援マネージャー」を一挙公開! AC等々力から矢板中央の門を叩いて3年目。ブラジルにルーツを持つGK藤間オタビオ広希(3年)が充実の時を迎えている。昨季はサブに甘んじていたが、高校ラストイヤーを迎えた今季は背番号1を託されてレギュラーに定着。堅守に定評がある矢板中央のゴールマウスを預かり、何度もチームのピンチを救ってきた。 身体を面にして相手のシュートコースを消し、放たれたボールに素早く反応する。キャッチングも安定しており、クロス対応でボールをこぼすことは滅多にない。 高い身体能力も魅力のひとつ。競り合いではフィジカル面で優位に立ち、相手の攻撃を断ち切れる。遊びの延長でフィールドプレーヤーをやっても、本職ではないかと見間違えてしまう。それほどまでにスムーズに動けるのは、運動能力の良さがあってこそだ。 そのパフォーマンスが評価され、10月上旬にはスペイン遠征を実施したU-18日本代表のメンバーに選出された。今年1月にU-17日本高校選抜に名を連ねた経験はあるが、世代別代表は初めて。多くの発見があったと、藤間は言う。 「チームメイトの質が高くて、どんなボールでも収めてくれる。身体も無理が効く。ゴールキーパー陣も身体能力が高く、基本的な技術がしっかりしていた。本当に刺激になりました」 世代のトップクラスが集まるだけに、レベルは全く違う。今まで味わったことがないようなプレーを見せつけられ、学びの場になった。また、ピッチ外でも成長の機会を得たとも話す。 「身体のケアや食べるものにすごく気を遣っていた。身体の調子が悪ければ、すぐにケアをしに行っていたのも勉強になります」 遠征では3試合のうち2戦目のスウェーデン戦の後半から出場。45分間のプレーだったが、自分に足りない部分が見えた。 「安定感がもっと必要だと感じた。ストロングポイントは発揮して、至近距離のシュートストップはうまく行ったけど、キックをもっと安定させて、コーチングや準備の質を高めていきたい。そうすれば、プレーももっと安定するはず」 貴重な経験を経て、チームに戻ってきた藤間。サッカーに向き合う姿勢がさらに高まり、木村大地GKコーチも変化を口にする。 「準備の質は今までも言ってきたけど、高校年代であればやれていたところがある。ゲームでもトレーニングでも代表は違うので、そこを経験できたことで取り組みが変わった」 11月9日に行なわれた高校サッカー選手権栃木県予選準決勝の足利大附戦は5-0で勝利。守備機会は多くなかったが、藤間は最後まで集中力を切らさずに準備も怠らなかった。 卒業後は関東大学リーグ1部の強豪校に進む予定だが、直近の目標は矢板中央初の日本一。選手権で頂点に立つべく、16日に迎える國學院栃木との県予選決勝で最高のパフォーマンスを見せるために準備を進めていく。 取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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