「タンス貯金」はなぜバレるの? いくらまでなら違法にならない?
お金を自宅に保管しておくことを「タンス預金」と呼びます。タンス預金自体は違法ではありません。問題は、課税対象のタンス預金を申告していない場合です。課税対象のタンス預金を申告しないでいると、申告漏れを指摘される可能性があります。 本記事では、タンス預金が税務署にバレる仕組みと、違法にならない金額などについて解説します。 ▼タンス預金していた現金を銀行に預ける場合、「税金」の支払いは発生するの?
タンス預金の「申告漏れ」がバレるケースとは
タンス預金の申告漏れが税務署にバレる主なケースとしては、「財産の相続時」が考えられます。子どもや孫にも知らせずに親や祖父母がためていたタンス預金が、本人の死後に発見されたとしましょう。 このタンス預金は、それ以外の財産とともに、相続税の申告が必要になる可能性があります。ところが、子や孫の中には、「自分たちも知らなかったタンス預金が税務署にバレるはずがない」と考える人もいるのです。このような事例があるため、税務署では常に相続税の申告に目を光らせています。 そのうえで、少しでも不審な点があれば調査が行われ、申告の必要がある相続人に対しては、申告漏れが指摘されます。では、税務署はどのような方法で、相続税の申告漏れを調査しているのでしょうか。
税務署は、こうして「申告漏れ」を調査する
住所地の市区町村に死亡届が提出されると、その情報は市区町村から所轄の税務署に転送されます。情報を得た税務署では、相続人の過去の確定申告情報などから、どの程度の財産の持ち主であるかを調べます。 この際に用いられるのが、全国の税務署と国税局をネットワークで結んだ、国税総合管理(KSK)システムです。税務署では、その情報と相続税の申告情報を照合します。その結果、申告漏れが疑われる場合は、実地調査に進むのです。 相続税に申告漏れが疑われる場合、「質問」や「実地調査」が行われます。質問の主な内容は、被相続人の収入と貯蓄に関する情報や、相続人の職業と収入などです。その後、相続人や被相続人の預金通帳や金庫などが調べられます。 なお、税務署は、事前に調査対象者の銀行口座を調べることもできます。(国税通則法第74条第3項)そのため、実地調査に入った段階で、相続人や被相続人の預金の額は把握されている可能性が高いと考えてよいでしょう。 つまり、収入の何割くらいがタンス預金になっているかを実地調査の前に把握している可能性が高いため、事実を改ざんしたり捏造(ねつぞう)したりしても隠し通せるものではありません。また、必要と判断すれば、税務署は相続人の取引銀行や知人などから話を聞く反面調査も行って、申告漏れの証拠を固めていくのです。