心理学者が選ぶ「人生で最悪の恐怖症」ワースト7
「確実に目を覚ますかわかっていない」という事実が大きな苦痛になる
■5. 食物恐怖症 食物恐怖症(cibophobia)は拒食症とも呼ばれ、食べ物に対する持続的で不合理な恐怖を指す。この恐怖症の人は、調理や食品汚染、食中毒などに対して極度の不安を経験する。 「食べ物が傷んでいることが怖くて、それを考えるだけで、実際に傷んでいたものを食べたかのように体調が悪くなります。ただ、それが起きるのは最初にそれが傷んでいると思った時だけです。もし、問題がないと思えれば、心配せずに食べることができます。困ったことに、食べ物が傷んでいるかどうかという私の判断基準は、『普通』の人とは大きく異なるようです」と食物恐怖症のあるRedditユーザーは説明する。 食物恐怖症患者は、食べ物を誰がどう調理したのか、食品が汚染されていないかなどを執拗に心配する。この強い恐怖が食物摂取の抑制、食事に関する極度の不安、睡眠障害、心配からくる身体的な症状などを引き起こす。食べ物への恐怖は栄養摂取にも健康全般にも影響をおよぼすことから、日々の生活が戦いになり、毎度の食事は栄養ではなくストレスの源になる。 ■4. 睡眠恐怖症 Psychology and Educationに掲載された2023年の研究は、睡眠恐怖症(somniphobia)には眠りに落ちることに対する強烈な不安がともなうことを説明している。睡眠恐怖症の症状には、入眠困難(寝つけない)、就寝時の覚醒の増加、著しい苦痛などがある。この恐怖症は、睡眠不足や覚醒時の機能不全を引き起こすことがある。 睡眠時に自分に何が起こるのか理解していないことや、確実に目を覚ますかわかっていないという事実が睡眠恐怖症患者は大きな苦痛になっている。「これこそ私が寝るのが怖い理由として第一に挙げたことです。脳がいつ活動停止するか私たちは知りません。突然起きるかもしれないことであり、それを制御できないことが怖くてたまりません。なぜなら無意識な状態のことを自分は何も知らず、そこに自分が『存在』していないことが怖いのです」とあるRedditユーザーはいう。 睡眠恐怖症の人たちは、寝ることで自分をコントロールできないことを怖れ、就寝時間が怖くなり、不眠症や頻繁な覚醒、パニック発作などを経験することもある。結果として起こる睡眠不足は、疲労、いら立ち、集中力の欠如などを引き起こし、日々の生活に深刻な影響を与えかねない。夕暮れ時は、自分自身との戦いの始まりとなる。眠りに落ちることへの恐怖が、体が必要としている休息よりも優先されるためだ。 ■3. 雑音恐怖症 雑音恐怖症(acousticophobia)は、幼児期に形成されることが多いとJacobs Journal of Neurology and Neuroscience誌の2019年の研究は指摘する。強い恐怖を引き起こす特別大きな音が引き金になることが多いが、驚くような音、奇妙な音、あるいは圧倒されるような音によることもある。 雑音恐怖症患者は、広くさまざまな音が引き金になる可能性があるという。「音の多すぎる場所にいると、パニック発作を起こすようになります。『音』といっても『雑音』に限らないからであり、赤ん坊の泣き声、人の話し声なども含まれます。音楽の演奏で起こることもあります。私は狭い場所を怖がる閉所恐怖症になったことはありません。閉鎖された場所も気になりません。大きすぎる音に対してだけ、時々パニック発作をおこすのです。感覚の過負荷とでもいうのでしょうか」とあるRedditユーザーが自分の体験を音響恐怖症になぞらえて語る。