心理学者が選ぶ「人生で最悪の恐怖症」ワースト7
何も怖いものがない人などいない。それがクモであれ、ピエロや暗闇や失敗であれ、誰もがその人なりの弱点を抱えている。しかし、すべての恐怖が同じというわけでもない。ほとんどの人は、最大の恐怖と直面することなどないか、あってもごく稀であり普通に生活していくことができる。しかし、一部の人たちにとっては、必ずしもそうではない。 ある種の恐怖症は、ひどく人を消耗させ、個人の生活のあらゆる側面に深く影響をおよぼしかねない。以下に挙げる7つの恐怖症は、おそらく読者が聞いたことのないものばかりだろう。そして、心理学的研究によると、これらは生きていく上でおそらく最も困難な症状を呈する恐怖症だ。 ■7. 歩行恐怖症 Frontiers in Psychology誌に掲載された2022年の研究によると、歩行恐怖症(ambulophobia)とは、歩くことに強い恐怖を覚える特異な恐怖症であり、主として高齢者に発症する。患者は平坦でない場所を歩くのを避け、自宅でベッドの中にいて転ぶリスクを減らそうとする。恐怖がひどくなると、移動能力や自立生活を著しく制限することにもなる。 著者らによると、「この恐怖症は患者のトラウマ的経験、たとえば自身が転倒したり、誰かが転倒したところを目撃した過去の経験によって起きることがあるという。そのような出来事の結果、患者は自身の能力に対する自信の欠如から、歩くことに対して、現実ではあるが不合理かつ不釣り合いな恐怖を体験する 歩行恐怖症の人々は、歩くこと、特に平坦でない場所や慣れていない場所を歩くことを考えただけで深刻な不安を感じる。この恐怖はパニック発作や心拍数の増加、発汗あるいは歩行を必要とする状況を避けたい衝動となって現れる。そして日常の行動、たとえば散歩や買い物、家の周囲を歩くことさえも困難になるという。転ぶことへの心配が大きくなり、外の世界が潜在的な危機で満たされた場所のように感じてくる。 ■6. 決断恐怖症 Journal of Sociology and Ethnologyに掲載された2021年の研究によると、決断恐怖症(decidophobia)とは、判断することに対する不合理な恐怖のことであり、個人が日々の生活を送る能力を損なわせることもあるという。この恐怖症の人は、些細な選択に直面した時でさえ激しいパニックを経験する。 この押しつぶされるような恐怖は、心拍数の増加や息切れ、血圧の上昇、発汗、筋肉の緊張や震えといった身体的症状を引き起こすこともあり、恐怖が患者に無力感を与えることもある。 判断することに身がすくむような恐怖を感じ、それは夕食を何にするかといった些細なことから、転職や人間関係といった人生における重要な選択にいたるまで多岐にわたる。選択を誤ることへの恐怖は、慢性的な先延ばしや回避行動、自分の決定を他人に依存することなどにつながる。人生がストレスに満ちたジレンマの連続になり、あらゆる決断が大惨事を引き起こすように感じる。