“エース”ニールが来日未定の西武野球はどうなるのか?
かねてから敵地・札幌ドームに乗り込む、日ハムとの開幕2カード目の初戦の先発マウンドを託す構想を描いていた指揮官は、広島戦後にあらためて明言した。「それを予定しています」と。 3連戦の頭を高橋と松本に託し、前者に2年目の左腕・浜屋将太、昨シーズン終盤に中継ぎから転向した平井克典、後者に2016年のドラフト1位右腕・今井達也、対戦相手や調子によって2年目の上間永遠らの若手や十亀剣、内海哲也らのベテラン勢をあてていく国産ローテで開幕に臨む。 ニールと同じく、内外野を守れる2年目のコーリー・スパンジェンバーグも来日を果たせていない。キャンプ中に左ふくらはぎの違和感を訴え、別メニューでの調整が続いている37歳のベテラン、中村剛也も一軍に合流していない状況で、広島戦では1番レフトに22歳の鈴木将平、9番サードにはドラフト6位ルーキー、22歳のブランドン(東京農業大学北海道オホーツク)が起用された。 ともに2打席ずつのチャンスが与えられた後には、鈴木に代わって4年目の西川愛也、ブランドンに代わってドラフト1位ルーキー、渡部健人(桐蔭横浜大学)を起用。辻監督は特に、最初の打席となった5回に体勢を崩されながらも中前打を放った西川に「楽しみです」と及第点を与えた。 「フリーバッティングから見ていて、ひと回り(身体が)大きくなって、ちょっと力強くなってきたような感じがしました。そのなかでああいう形で、難しい球を打つところを見せてもらったので」 二度の満塁を含めて、スコアリングポジションに5度も走者を進めながら最少得点に終わった打線に対しては、辻監督も「そこは最後の課題です」と苦笑しながらも心配はしていない。 「もう一本という場面でいかに点を取るか、細かいところをやっていけば大丈夫だと思っています」 昨シーズンの新人王を獲得した豪腕セットアッパー平良海馬、国内FA権を行使した上で残留した守護神・増田達至が健在の状況を考えれば、昨シーズンもフル稼働した「勝利の方程式」の2021シーズン版を完成させる作業が、開幕へ向けた最後の課題となる。 昨シーズンに急成長を遂げ、最終的に7勝&16ホールド、防御率1.35の成績を残し、9月以降は平良や増田へつなぐ勝ちパターンの一角を担った森脇亮介が、右肩の違和感で二軍での調整となった。代わりに森脇や平良が台頭するまでセットアッパーを務め、すでに来日および合流を果たしている2年目のリード・ギャレットを、辻監督は広島戦の4番手として最終回のマウンドへ送った。 調子を崩す前には現時点のNPB支配下登録選手として最速、歴代では3位タイとなる162kmをマークした豪腕は二死二、三塁のピンチを招きながらも後続を断ち、辻監督をひと安心させた。 「最初の登板にしてはよかった。投げられる、間に合ったと思ってホッとしています」 阪神をメットライフドームに迎える17日のオープン戦では、高橋、松本に続いて一本立ちしてほしいと大きな期待を託す今井を先発のマウンドに送る。 同時進行で19日のDeNA戦、20日からのヤクルト2連戦と本拠地で続くオープン戦を通して打線を仕上げ、2019年のドラフト1位右腕・宮川哲、日ハムから獲得した吉川光夫、オープン戦で無失点を続ける佐野泰雄の両左腕を救援陣に組み込んでいく作業を継続。本拠地にオリックスを迎える26日からの開幕3連戦から始まる、ソフトバンクに奪われた王座奪回を目指す戦いへの準備を整えていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)