「海が好き」年々減少、子どもの頃の体験が鍵か―第4回「海と日本人」に関する意識調査
日本財団は、7月15日の「海の日」を前に海に関する意識調査を実施し、その結果を発表しました。
この調査は、四方を海に囲まれ海の恩恵を受けて生活をしている日本人が、海に対して持っている意識や行動の実態を明らかにすることを目的とし、2017年より2年に一度実施されています。
4回目となる今年は初の小学生親子調査も実施。調査結果からは、海への愛着度や興味関心等が全体的に低下している(図1)ことが判明した一方で、若い世代の海への興味関心は比較的高いということが明らかになりました。
また、今回の調査結果について、日本財団海洋事業部海洋船舶チームの古谷悠真氏は以下のように述べています。 「今回の調査により、『海は大切な存在である』と認識されつつも、海に対する好感度が以前の調査時よりも低下していることが明らかになった。一方、小学生(75%)や高校生(68%)などの今後の社会形成の鍵となる若年世代は『海に行きたい』と考える割合が高かった(図2)。子どもの頃に海を体験していることが、その後海への興味関心を維持する重要な要素となると思われるものの、子どもの体験は社会経済的な状況に左右され、格差が生じやすい部分でもある。日本財団では『海と日本PROJECT』などの事業を通じ、これらの体験格差を埋めるべく、公立学校や地域との連携によって海洋の体験を促進する活動に引き続き力を入れていきたい」 ■「海と日本人」に関する意識調査 概要 1. 15歳~69歳への調査 調査手法:インターネット調査 調査対象者:日本国内に居住する15歳~69歳 回収サンプル数:合計 11,600 調査期間:2024年5月10日~14日 2. 小学生親子調査 調査手法:インターネット調査(親から子どもへのヒアリング) 調査対象者:日本国内に居住する小学生(男女)とその親 回収サンプル数:合計 2,000 調査機関:2024年5月10日~13日 ■調査結果の詳細 https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2024/07/new_inf_20240711_01.pdf ■調査結果サマリー 「海離れ」という現象について ・気持ちや感情の上での「海離れ」が明らかになった ・「海が大切だ」と考えているが、行動につながっていない ・タイムパフォーマンス意識が、海を遠ざけている 情報接触の仕方が、海との距離感を生み出す ・「フィルターバブル」が海離れを加速させている ・海の問題と自分の生活につながりが見出せない ・新たな海のイメージを提示することが必要 コアターゲットとしての若い世代への期待 ・高校生は、全世代の中でも海への関心が高い ・小学生は、75%が海に行きたいと思っている ・20代、30代の海への意識が低く、子どもへの影響も ■日本財団「海と日本プロジェクト」 https://uminohi.jp ■「海と日本人」に関する意識調査について 世界的に海洋危機が叫ばれる中、現在の日本人の海への意識、行動の実態を明らかにすることで、日本人と海との関わりにおける課題を抽出し、今後の海との関係性向上に貢献することを目的に2017年より2年に1回、定点調査として実施。2024年は4回目の発表。