育児しながら正社員への転職はムリですか? 転職の専門家が解説...柔軟な働き方ができる今、チャンスは多い
小学校低学年の子どもを育てながら転職 年収1.5倍アップに成功
実際の転職事例を紹介しましょう。 Aさん(30代)は、小学校低学年を子どもを育てているシングルマザー。これまで、契約社員や派遣社員として事務のお仕事をしてきましたが、正社員を目指し、転職相談にいらっしゃいました。 「将来を考え、専門スキルを身に付けてキャリアアップを目指したい」「収入を上げ、子どもを大学まで進学させたい」という思いから、転職を決断したのです。 しかし、「子どものために17時30分には帰りたい」という条件が、転職活動のハードルとなっていました。 そこで、Aさんの強みをしっかりアピールできるよう、キャリアアドバイザーと一緒に、これまで仕事で頑張ってきたこと、身に付けたスキルを「棚卸し」して面接でアピール。その結果、IT企業に営業職として採用され、年収1.5倍アップを実現しました。 Aさんが評価されたポイントは、「効率的に仕事をする工夫をしてきたこと」や「コミュニケーション力」。また、お子さんが寝た後に資格の勉強をしていたというエピソードから感じられる「向上心」です。 Aさんはそうした強みを面接で伝えるため、しっかりと事前準備をされました。志望動機や転職理由などについても整理・言語化し、通勤途中などにも歩きながら小声で口に出して受け答えの練習をしたそうです。 そして「企業研究」をしっかりしていたことも、採用の決め手の一つとなりました。Aさんは企業ホームページを隅々まで読み込み、業界の知識も勉強していたのです。 選考ではほかに、勤務時間に制約がない20代の応募者も候補に挙がっていたそうですが、「Aさんの方が自社のことをしっかり研究し、理解してくれている」と意欲を評価され、選ばれました。 面接終了後、すぐ御礼状を作成・送付するなど、志望度の高さをしっかりと伝えていた点も好印象につながったようです。 結果、Aさんは退勤時間の希望を受け入れられ、さらには「リモートワークOK」「残業なし」という働き方を手に入れました。 Aさんが採用に至るまでは、多くの応募先企業で書類選考で見送られており、転職活動は決してスムーズなものではありませんでした。 しかし、粘り強くキャリアアドバイザーと一緒に経験・スキルの棚卸し、自己分析、企業研究をし、自己学習など、準備を重ねたことで希望を実現できたのです。 次回は、ワークライフバランスを重視した働き方を目指す人が転職活動を成功させるためのポイント、育休からの復職直前で転職活動を行い、成功した女性の事例を紹介したいと思います。 【プロフィール】 キャリアアドバイザー 松原大悟 地方公務員として児童福祉業務にて経験を積み、2023年にリクルートに入社。キャリアアドバイザーとして、さまざまな業界・職種の求職者の転職を支援。求職者の方にとって納得感のある転職活動ができるよう支援をすることにこだわりを持つ。