義理人情は日本人の特色...言語に表れる「思考の傾向」
義理人情で考える
(日本人の)思考の展開は人生論的であり、情緒的になるのは自然で、考える主体の感情が思考形式、内容にも乗り移る。 思考のくりひろげられる基盤は硬質のものではなくて、いわば海綿状のものであると想像される。そういう基盤の上に思考が置かれると、たちまち広範囲ににじみができて拡散する。 それが情緒、共鳴、感銘、感動などと自覚されるのだが、こういうのを感情移入的思考と呼ぶことができよう。日本人のものの考え方の特色である。 『日本語の論理』
人間的感情から距離を取る
わが国の思考の様式においても、従来の感情移入型から、他方の抽象型への移行を考えてよい。人間モデルから離れた純粋思考ができるようにするのである。 人間をモデルに考えているかぎり、いわゆる論理性は生れない。 『日本語の論理』
外山滋比古(お茶の水女子大学名誉教授)