ヤクルト・高梨裕稔&吉村貢司郎を新潟・燕市で2日間〝密着取材〟 垣間見えた野球愛とプロのすごさ
【球界ここだけの話】ヤクルト・高梨裕稔投手(33)と吉村貢司郎投手(26)が12月14、15日に新潟・燕市を訪れ、野球教室とトークショーに参加した。燕市とヤクルトは2010年から「つばめ」の縁で交流事業を行っている。2日間、両投手を〝密着取材〟して見えてきたのは、野球への熱量とプロのすごさだった。 【写真】純銅タンブラーの鎚目入れ体験を行うヤクルト・吉村貢司郎と高梨裕稔 最初に垣間見えたのは、サービス精神である。14日に開催され、地元の8チーム、約70人の野球少年少女が集まった「つばめ野球クリニック2024」。開始から約15分で子供たちの心をわしづかみにした。 準備運動を終えると、2人でキャッチボールを実演。何球か投げたところで、吉村が自らを囲うように子供たちを集め、〝本気の投球〟を披露した。シューという音を立てながら伸びる直球に、児童たちは「うお-」と驚きの声をあげ、目を輝かせた。「スライダーが見たい」などという子供のリクエストに応え、スライダー、フォークボール、カーブといった変化球も披露。一球投じるごとに歓声があがった。 約2時間の野球教室の終盤には、高梨、吉村の提案で予定にはなかった参加者全員との1打席勝負も行われた。これには野球少年少女も興奮気味。外では雪が舞い、寒さを感じる屋内練習場で右腕を振り続けて、子供たちに夢のような時間を届け、吉村は「すごい楽しんでくれている姿を見て、僕も頑張りたいと思えた。子供たちの目標、夢に少しでもつながってくれたらいいなと思いながらやっていました」と優しく笑った。 少年時代に地元の千葉で名球会のイベントがあり、サインをもらったことや、「いい投げ方だね」と褒められたことが「今でも記憶に残っている」という高梨は「きょう来てくれた子供たちもいい思い出になってくれたらうれしい」と笑顔。野球への愛と熱量がサービス精神旺盛な行動につながっていた。 15日のトークショー「スワローズ『ネホリハホリ』2024」の前には、プロの集中力を発揮した。燕市産業史料館を訪問し、純銅タンブラーの鎚目(つちめ)入れなどを体験。金づちでタンブラーをたたき、オリジナルの鎚目が入った世界で一つだけのタンブラーをつくった。通常は30分ほどかかるという作業を15分ほどで終わらせたが、「すごくきれい。さすが」と担当者を驚かせた。 高梨は一度、「完成」を宣言してからも、自らが入れたタンブラーの鎚目を見直しながら、何度も微調整。グラウンド外でもこだわりを持って作業する姿を見せた。吉村は一言も話すことなく、黙々と作業。トークショーで体験中の写真が映し出されると、「写真、撮っていたんだ。気が付かなかった」と目を丸くした。試合中のマウンドでは「周りの声が聞こえなくなる」というが…マウンドなみの集中力で体験に没頭していた。
子供たちやファンが楽しんでくれるようにと試行錯誤する姿や、何事にも熱中する姿を間近で目撃。来季に向けて「2桁勝てるように」(高梨)、「負けない投手に」(吉村)と強い覚悟を持つ2人の活躍を、記事にしたいと感じた2日間だった。(武田千怜)