「これがこんにゃくなのか?」あまりのポテンシャルに驚く“世界一簡単”な「こんにゃくの炒り煮」にごはんが進む
料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作れる方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。今回はごはんがもりもり進む「こんにゃくの炒り煮」です。 【写真】ソースしみしみ!これまでのこんにゃくの常識を覆す、ごはんがどんどん進む「こんにゃくの炒り煮」 ■日本が誇るスーパーフード「こんにゃく」 こんにゃくは日本が誇るスーパーフード。低カロリーで、食物繊維が豊富、毎日の栄養バランスを整えるためにも食べたい食材です。外食ではなかなか出会えないので、家で料理しましょう。
こんにゃくはサトイモ科の植物であるコンニャクの球茎からつくられる食品。コンニャクは多年草で、強い日差しも寒さにも弱いという難しい植物。多くの場合は育ててから冬になると一度、収穫し、室内で保存したものを再び植え付ける、という作業を3年ほど続ける手間のかかる作物です。 時間と手間をかけて収穫されたコンニャク芋ですが、そのままでは食べられません。シュウ酸カルシウムの毒性が強いからで、食べるには茹でてからアルカリ処理を行うなどのアク抜きの工程を踏む必要があります。
こんにゃくが固まるメカニズムについてはかなりの部分、解明が進んでおり、含まれるグルコマンナン(グルコースとマンノースからなる多糖類)に塩基性の溶液が加わることで、高分子同士が凝集して、不溶性になるため、ゲル(ゼリー状)に固まる、とされます。凝固剤としては一般に水酸化カルシウムが用いられるので、pHはアルカリ性を示します。ほとんどの食品は中性~酸性なので、その点でも珍しい食品です。 人間がおいしい、と感じられるpHは中性付近から弱酸性くらいなので、アルカリ性の食品であるこんにゃくを料理するときはみそやしょう油といった弱酸性の調味料で味付けするのが一番。思ったよりも調味料を多めに使うのがコツです。
また「こんにゃくは味が染み込みづらい」というのもよく聞く定説。しかし、これは間違っています。調味料の味は水分が運ぶので、ほとんどが水分であるこんにゃくはむしろ味が染み込みやすい食材なのです。こんにゃくにはよく切り込みをいれたりしますが、それは単調な食感に変化をつけるためでしょう。 ■「アク抜き」「下処理」はいらない! 新定番ポイントはアク抜きや下処理の有無です。というのも、こんにゃくには特有の匂いがあるとされ、かつてこんにゃくを料理するときは