「これがこんにゃくなのか?」あまりのポテンシャルに驚く“世界一簡単”な「こんにゃくの炒り煮」にごはんが進む
塩もみ→水洗い→下茹で してから使う、というのがコツとされていました。しかし、現在ではそこまで気にする必要はないかもしれません。コンニャク芋自体には臭みがなく、特有の匂いは凝固剤に由来するのですが、現在ではそれを抑えるために製造工程に水晒しを含めるメーカーが多いため、さっと水で洗い流すだけで充分なことが多いのです。こんにゃくの袋を開け、匂いを確認して、あまり強くなければ、あるいは袋の中の水が濁っていなければそのまま使っても問題ありません。それではさっそく料理していきましょう。
旧 臭み取りをしてから使う 新 気にならなければそのまま使ってもよい こんにゃくの炒り煮 材料 こんにゃく 200g にんにく 1片 ごま油 大さじ1/2 しょう油 大さじ1 砂糖 大さじ1 酒 50ml もう1つの新定番ポイントがにんにくです。仏教とともに日本に伝来したこんにゃくは肉類の代用として使われてきた歴史がありますが、硫黄化合物を多く含むにんにくを加えることで肉のようなボリューム感を出せます。また、こんにゃく独特の匂いも抑えられるので一石二鳥です。
こんにゃくは切って厚さを半分にします。 切ったこんにゃくを麺棒などで叩いてさらに薄くします。 左が叩いていないもの。右が叩いたこんにゃくです。叩くことでしなやかになったことがわかります。思ったよりも強めに叩いてもこんにゃくは崩れないので大丈夫。塩もみ、茹でる、叩くなどこんにゃくには様々な下処理がありますが、それらを比較した研究によると叩くことでゼリー強度が強まり、食感がよくなったことが報告されています。
叩いて伸ばしたこんにゃくを2.5cm×3cmくらいの大きさに切ります。 ごま油大さじ1/2をひいたフライパンを中火にかけ、30秒~1分予熱します。 切ったこんにゃくを入れます。この時、バチバチと音がするでしょう。この音からこんにゃくの炒り煮は「雷こんにゃく」とも呼ばれます。 にんにくを加えて炒めていきます。 にんにくに焼き色がついたら調味料を加えます。調味料の量はやや多め。こんにゃくのpHを調整するためです。
強火で煮詰めたら出来上がり。繰り返しになりますがこんにゃくは味が染み込みにくいのではなく、そのものに「味がない」ので、酒を加えてうま味を補っています。酒の代わりに出汁を使うと違ったおいしさが出るでしょう。 こんにゃくの炒り煮は冷蔵庫で2~3日保存が利きます。充分に叩いたこんにゃくは肉のような存在感が出て、にんにくのパンチが加わることでごはんのおかずにもなります。子供の頃「こんにゃくは腸の掃除になる」と教わりましたが、日本人が不足しがちな食物繊維とカルシウムの補給に最適。地味な食材ですがたまに食べるとしみじみおいしいものです。
樋口 直哉 :作家・料理家