日本復活に「経済政策」は不要どころか、逆効果だ
一方、「中期の経済政策」は、いわゆる供給サイドの成長戦略だが、政治的に語られる成長戦略の多くは需要喚起で、実際には景気対策であるから、前述のように非効率性から経済にマイナスである。 ■成長戦略は景気対策よりさらに経済にマイナスなワケ その次に、政治が好きな成長戦略は、産業政策で、次の日本のリーディング産業を支援する、作る、という観点、あるいはすでに最重要になっている産業に資金を突っ込む、ということが行われる。
これは、景気対策よりもさらに経済にマイナスだ。なぜなら、今や政府は民間セクターに比べて情報優位であるどころか、むしろ劣位である。したがって、民間企業に見抜けない次の産業を見つけられるはずがない。 点数を稼ぎたい政治家がやりたがることだが、すでに誰もが今もっとも重要になっていると知っている産業に、遅れて補助金を突っ込む。もうすでに出遅れているから、補助金は負け組に突っ込むだけであり、無駄になるどころか、すでに取られた産業を諦めて次に移るのが遅れ、次の産業にも企業は移れず、補助金は無駄になり、企業も政府とともに共倒れになる。
何とか追いついたとしても、いわゆるレッドオーシャンでいちばん儲からない産業になっているから、資本効率は最低で、日本企業の利益率が低いことを助長する結果に終わる。 本来重要なのは、人的資本の蓄積を支援することによる労働生産性の向上、働き手の長期的な価値の上昇のための政策だが、これは、掛け声だけで、無駄なことあるいは効率の悪いことをやっている。 例えば、今はリスキリングという言葉が躍っているが、これはほとんど無駄である。理由は3つある。
■リスキリングが失敗する「3つの理由」 第1に、スキルは必要に応じて身に付けるものであり、オンザジョブトレーニングが効率的、最先端であり、学校や職場外で受ける研修では、フレッシュな価値はないものであり、スキルはフレッシュである必要がある。もし、プログラミングや単にエクセルなどのソフトの使いこなしであれば、そんなものはリスキリングなどというほどのものではなく、これまでもやる気のある人であれば、個人で勝手にやっている。