「衝撃的な経験でした」G大阪DF中谷進之介がプロキャリアで最も脅威を感じた選手は? 「あの感覚はあの2人からしか...」
「本当に気が抜けない。2人からしか味わったことのない感覚」
攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第36回は、ガンバ大阪のDF中谷進之介だ。 【PHOTO】中谷進之介、松田陸らを補強したガンバ大阪が沖縄でトレーニングキャンプを実施! 前編では守備での対応の仕方や相手の分析、またG大阪への移籍を決断した理由や新天地での覚悟について訊いた。後編では10年のプロキャリアで最も脅威を感じたアタッカーや今シーズンへの意気込みを語ってもらった。 ――◆――◆―― バイタルエリアでは相手のエースに自由を与えてはいけない。キープレーヤーに対して強くマークにいく意識は大事。これまでの経験からも、各チームのエースはだいたい頭に入っていて、得点を取りそうな選手はなんとなく分かります。 だからといって、何も考えずにマークにいっては、裏のスペースが空いてしまう。そこは塩梅を見ながら、状況によっては食いつきすぎないようにポジションをとっています。 10年のプロキャリアで最も脅威を感じたのは、浦和レッズと対戦した時の柏木陽介さんと興梠慎三さんのホットライン。6年前ぐらいは常に警戒していました。 慎三さんだけでももちろん怖いですけど、やっぱりあの動き出しにパスを出せる柏木さんのプレーは、本当に気が抜けない。あの感覚はあの2人からしか味わったことのないし、衝撃的な経験でしたね。 チームでは、川崎のサッカーは脅威に感じます。バイタルの狭いエリアでもしっかり繋いで攻撃してくるし、たくさんの人が関わって、色んなところに目線を変えられながら、バリエーションも豊富にゴールに迫ってくる。自分としても守備をするのが難しい印象があります。 特に一番恐ろしかったのは、三笘選手たちがいた時代ですよね。選手一人ひとりにしっかりと個の力があり、組織として一体感もあるし、パスを繋げてくるイメージがあって、本当に嫌でした。
「あの時の名古屋は、勝ちに対してすごく貪欲だった」
昨年、16位に終わったG大阪の失点数は、リーグワーストの61。この現状を変えたいと意気込む中谷は、そのために守備の統率に加え、名古屋時代と同様にリーダーシップを発揮していきたいと言う。 ――◆――◆―― 失点を減らすためにも、自分はしっかりリーダーシップをとることを大事にしたい。ディフェンスラインの統率もやらないといけないと思いますし、監督やクラブからも求められています。 新しいチームに来たからといって、チームを引っ張る意識は変わらない。そこで気を遣うとか、余計な考えは全くないです。自分のやるべきこと、やれることをやって、その振る舞いやキャプテンシーでチームの力になりたいです。 名古屋時代にも苦戦したシーズンがあって、翌年に巻き返したこともあった。クラブのスタイルとか、監督が目ざしているスタイルは全く違うので、その経験を生かせるかは分からない。でもあの時の名古屋は、勝ちに対してすごく貪欲だった。そういう雰囲気をこのクラブでも作れるように、自分が働きかけていきたいと思っています。 それには、チームに一体感が必要。監督が求めるサッカーに全員がひとつになって、向き合っていきたい。あとは結果さえついてくれば、選手にも精神的に良い循環が生まれてひとつになっていけるはずです。 ポヤトス監督のボールを保持する攻撃的なサッカーは、お客さんもすごく喜ぶスタイルで魅力的ですし、自分としても、監督が目ざしているモノの力になりたいです。 今季のチームの目標、7位以上は絶対に成し遂げたい。そして、なにかひとつでもタイトルを獲りたい。タイトルを獲るためには、日々の練習から高い意識でいる必要がある。その試合の時だけ頑張ろうと思っても力を発揮できないですし、常に毎日の練習に向き合えるかだと思うので、それを全員がやれればタイトルは近づくんじゃないかなと。 個人としては移籍初年度ではありますが、リーグ戦38試合、すべてに出たいです。 ※このシリーズ了 取材・構成●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)