スーパーカーブーム時代のアイドル「512BBi」は4000万円! フェラーリ・クラシケを取得した新車のようなコンディションの1台でした
年式を疑うほどコンディションが素晴らしい1台
2024年11月23日にRMサザビーズがドイツで開催したオークションにおいてフェラーリ「512BBi」が出品されました。2015年10月にフェラーリのクラシック部門、クラシケから正式な認定を受けたモデル。製造番号やフレームナンバー、エンジン、ミッションのナンバーなどがすべて新車時とマッチングしている1台でした。 【画像】レザー・ラゲッジセット付き! フェラーリ「512BBi」」を見る(全53枚)
1007台が生産された「512BBi」
1981年から1984年にかけて1007台が生産されたことがフェラーリには記録されている「512BBi」。フェラーリの近代化を目指して、1973年のパリ・サロンで初公開された「365GT4BB」から、「512BB」を経て、BBシリーズの最終進化型となったモデルである。 ちなみに各モデルの生産台数は、365GT4BBが1973年から1976年までの間に387台、続く512BBが1976年から1981年まで929台。そして1981年から1984年まで生産が継続された512BBiが前で触れたとおり1007台という数字であるから、その前身である「365GTB/4」(デイトナ)の時代と比較すれば、商業的には成功を収めたと評価してもよい。 フェラーリの近代化が最も直接的に表れていたのは、その基本設計にあった。すでに新興勢力ともいえたランボルギーニは、ミウラにおいてその基本設計にV型12気筒エンジンの横置きミッドシップという手法を採り入れており、さらにはその次世代モデルの「カウンタック」のプロトタイプをも公開していた時代である。
燃料供給はキャブレターからインジェクションへアップデート
その頃のフェラーリは、すでに親会社としてフィアットが市販車の開発にも大きな影響力を持つようになっていた。「ミウラ」が採用した横置きに対して、バンク角を180度まで開いたV型12気筒エンジンとギアボックスを2段式に重ね、それをミッドに縦置きするというパワーユニットの搭載方法を考案。ピニンファリーナによる美しく、そしてスポーティな感覚のボディとともに、時代の最先端を意識させる新たな12気筒モデルを作り上げたのだ。 ファーストモデルの365GT4BBに搭載された4.4LのV型12気筒エンジンが発揮した最高出力は380ps。最大トルクは431Nmと発表されていたが、このエンジンが負担する車重はわずか1235kg。その運動性能はスーパーカー・ブームの時に日本でも熱狂的に語られた302km/hが公称値であったことは、いまだ記憶に新しいところだ。 そのマイナーチェンジ版である512BBは、V型12気筒エンジンの排気量を5Lにまで拡大し、実用域でのトルク特性を改善したことが大きな話題。最高出力は360psと若干の低下という結果になってしまったが、クラッチや冷却系にも改善が加えられ、その信頼性はさらに高まった。そしてBBシリーズの集大成として1981年にデビューしたのが、今回の出品車であり燃料供給をウェーバー製キャブレターからボッシュ製のKジェトロニックへと変更し、さらに最高出力では20psを絞り込まれた340ps仕様の512BBiということになる。