「今の怪談ブームは危うい」“実話怪談”が今改めて脚光を浴びる理由とは? 【怪談師/作家・夜馬裕インタビュー】
「情シスだけが怖い話」など、怪談イベントは多様化
――夏に限らず怪談やオカルト系のイベントも増えて、さらにさまざまに派生して多様になっていると感じます。この流れはしばらく続きそうでしょうか?
夜馬裕:しばらくは続くと思いますよ。私自身も、昨年と比べて5倍くらいはイベント稼働が増えています。今回(「情シスだけが怖い話」)のような変わりダネから、王道の怪談イベントまで種類もさまざまです。 あと、今は一般の方もしゃべりに自信があればプレイヤーになれるチャンスがある時代で、実際にそういう方々も増えています。ただ、最近は芸人やタレントさんで怪談語りをする方も多い。やはり芸能人の方は事務所があって、資金だってあるし、いいコンテンツを作れるし、お客さんも呼べますよね。いずれは「素人がやっても全然ダメだよね」となっていき、演者の数は落ち着いていく気がしています。 ――今回のイベント(「情シスだけが怖い話」)は、いつもとは少し毛色が違うイベントでした。オファーがあったときは、戸惑いはありませんでしたか? 夜馬裕:僕は世の中で起きている、不思議な出来事、怖い話が全部好きです。今回は「ディープフェイク」や「ランサムウェア」など、情報システム部門の人たちにとっての怖い話を取材できて、すごくおもしろかったですね。ただ、やはり専門用語が出てきたりしたので、話を覚えるのは少し苦労しました(笑) ――今後の活動の展望や目標を教えてください。 夜馬裕:もともと怪談など怖いものを書く作家になりたいと思っていたこともあり、「怪談師・作家」と名乗ってきました。ただ休日もイベントが増えて、本を書く時間がなくなったので、2024年2月にずっと勤めていた出版社を退職しました。怪談師として活動しながら、今後はもう少し大きな声で作家と言えるように、頑張って本を出したいですね。また「フェイクドキュメンタリーQ」の書籍版の文章や、来春公開のホラー映画のノベライズとコミカライズの原作といった仕事もあるので、そういうお仕事も力を入れたいと思っています。 あとは2年ほど前には、インディーズのお化け屋敷を作りました。最近、郊外にいい物件を見つけたので、またお化け屋敷を作ろうかと思っているところです。少しダサめの肩書にはなってしまいますが、「ホラーコンテンツクリエイター」みたいな感じで、幅広くやれたらいいなと思っています。 ■プロフィール 夜馬裕(やまゆう) 怪談師・作家。新宿ゴールデン街を拠点とする怪談ユニット「ゴールデン街ホラーズ」として活動。第7回『幽』怪談実話コンテスト優秀賞、怪談最恐戦2020優勝。「サンデーうぇぶり」で連載中の漫画『厭談夜話』(小学館)の原作を担当。著書に『厭談』シリーズ(竹書房)、『自宅怪談』(イースト・プレス)など。 ■出演イベント 「情シスだけが怖い話」 ※イベントは終了しています 主催:HENNGE株式会社