JR北海道ローカル線廃線の動き 「提言書」には何が書かれているか
JR北海道の再建や安全対策について助言する第三者委員会「JR北海道再生推進会議」がまとめた「JR北海道再生のための提言書」が先月26日、同社の島田修社長に提出された。厳しい経営状況のなか、鉄道事業にもっとも大切である「安全」をどうたて直すかを議論してきた提言書だ。その要点を見てみよう。
ローカル線は廃線になるのか
提言書は、根室本線の滝川~新得、日高本線の苫小牧~様似、宗谷本線の名寄~稚内、根室本線の釧路~根室、釧網本線の東釧路~網走が1キロあたりの1日平均利用者数が500人以下であると指摘している。提言書で乗客が少ないと指摘された路線の中には、留萌市や稚内市、根室市のように、地域の中心都市ともなっている地域がある。 もしこの提言書にある各線を廃止したら、振興局(北海道における広域的な行政区域)のなかに鉄道が走らない地域が複数出ることになる。すでに、江差線の木古内~江差間の廃線により、檜山振興局では鉄道が走っていないという事態になっている。この基準で廃線が行われると、日高振興局、留萌振興局、宗谷総合振興局、根室振興局では鉄道が走らないということになる。 提言書が提出されたあと、地元紙・北海道新聞を中心に、2018年度までに留萌線の留萌~増毛間を廃止するという報道が出ている。この区間を含む留萌本線深川~増毛間は1キロあたりの1日平均利用者数(輸送密度)が142人と道内3番目に少ない。また、さらに平均利用客の少ない札沼線(学研都市線)の北海道医療大学~新十津川間や、石勝線の新夕張~夕張間」の廃止の可能性を北海道新聞が伝えた。 1980年に制定された国鉄再建法で定められた「特定地方交通線」の枠組みの中では、1キロあたりの1日平均利用者数が4,000人以下の路線をバス転換することが適当だとされた。その結果、北海道では多くのローカル線が廃線になり、紋別市や中標津町のように、空港があっても鉄道がない地域もあるようになった。 JR北海道は「廃止は決まっていない。今後の地域交通のありかたについて地元と相談している」という。