【日本人が知らない「話し方の最新科学」】「ゆっくり、大きな声で話す=正解」が、もはや“時代遅れ”の訳 人気のYouTuberに共通する「話し方の特徴」は?
ニューヨークで、学術的にコミュニケーションを学び、その黄金則を体得したわけですが、結論として、「ゆっくり大きく」は正解ではありませんでした。 ■「声の出し方」で大事なのは「メリハリ」 もちろん、聞き取りやすい声であることは重要ですが、「声の出し方」で大事なのは、メリハリ。 「ずっとゆっくり」「ずっと大きな声」を張り上げていたら、聞く人は飽きてしまいます。同じリズム、同じトーンでがなり立てる、政治家の辻立ちのような話し方に魅力は感じませんよね。
日本では、モノトーンで、フラットに話す人が非常に多いのですが、音量やスピードを変えたり、間(ま)を入れたりすることで、緩急をつけて話すことが「声の出し方」では何より大事なのです。 そして、スピードですが、最近は特に「ゆっくりな話し方」は要注意です。 「ゆっくり話す人」と「速く話す人」どちらが知性的か、説得力があるか、については数々の研究があり、結果は分かれています。 1976年のアメリカの研究では、速く話すほうが、説得力が増し、自信、知性、客観性、優れた知識を示すことができるという結果でした。
「ゆっくり話す」は「老化現象」ととられやすいという側面もあります。 今年発表されたカナダの研究では、「『なかなか言葉が見つからない』現象より、『全体の話す速度が遅くなる』現象のほうが認知機能の衰えの指標となる」ことが明らかになりました。 アメリカのバイデン大統領のゆっくりとした話し方より、機関銃のように話すトランプ氏の話し方に、シャープさを感じた人は少なくなかったでしょう。 やはり、速く話す人のほうが「頭の回転が速い」「カリスマ性や説得力がある」と見られがちなのです。
■「テンポのいいスピード」で話すのがおすすめ そこで、トップエクゼクティブの「話し方の家庭教師」である私は、特に最近、生徒に対し、なるべくテンポのいいスピードで話すことをおすすめしています。 もちろん、高齢の方などに対して話す際には、ゆっくりめが望ましいのですが、一般的には小気味よく、よどみなく話すほうがいい。 なぜでしょうか? それは、あまりにゆっくりと話を聞かされると、脳が退屈してしまうからです。