大谷翔平「憧れるのを、やめましょう」は脳科学的に正しい…「能力があるのにダメな人」と「結果を出す人」の違い
■一流は“成功のイメージ”を蓄積している 難しいパッティングでも、脳がイメージしたような形でパッティングの成功を積み重ねていくと、カップとボールを見ただけでカップインが予測できる脳が生まれてきます。 逆に、「入りそうにないな」と感じた場合は、手もそのように動きますから失敗する確率が高くなります。こうした場合は、必ず動作を中止して仕切り直すべきです。 これはスポーツに限りません。一流のプロという人たちは、同じ作業を繰り返すことによって成功のイメージ記憶を蓄積し、それをいろいろな場面に当てはめています。だから、成功する確率が高まるのです。 また、多くの失敗をすることによって「これはうまくいかないな」と思ったときは強引に進めず、一歩引いて冷静に現状を見直すこともできるようになります。それによって失敗する確率を低く抑えることもできるわけです。 つまり、経験を蓄積することによって正確なイメージを描けるようになるのです。それゆえ、諦めずに続けることが潜在能力を発揮する脳を作るためには必要です。潜在能力を発揮するためには、とくに以上挙げた五つの項目をチェックするといいでしょう。 ■潜在能力が最も引き出される原点は「人のため」 これらを考慮したうえで、潜在能力を最大限に高め、発揮するには何が大切なのでしょうか。 私の考えをひと言に凝縮すれば、「原点に従って全力投球する」ということになります。原点とは何でしょうか。人が目標に向かうとき、そこには原点があるはずです。○○という大会で優勝する、△△の試験に合格するといった目標に対して、そうしたいと思う大本が原点です。 人は往々にしてこの原点を外れ、自分の都合がいいように書き換えてしまいます。この相手に絶対に勝ちたい、このテストで周りよりいい点を取りたい、というように。しかし、既に述べた理由で、これでは脳の多様な領域が連動しなくなります。 潜在能力が最も引き出される原点にあるのは、「人のために生きる」ということです。具体的には「誰かに勝ちたい」ではなく「観た人が感動する勝ち方をしたい」と願うことです。 2023年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では侍ジャパンがこの通り、野球を通して感動を与えることを掲げて大会に臨み、見事世界一を掴みました。その極めつきは、大谷翔平選手が、決勝戦開始直前、チームメートに放ったひと言です。誰もが憧れる名選手揃いのアメリカ代表を相手にして、彼は何と言ったでしょうか。