大谷翔平「憧れるのを、やめましょう」は脳科学的に正しい…「能力があるのにダメな人」と「結果を出す人」の違い
■本当の優しさは「弱点を見つけ指摘すること」 子どもに潜在能力を生み出すためには、なんとしても全力投球の重要性を教えなくてはいけません。 そうしないと、本能に負けてすぐに手を抜いてしまいます。何度も言うように、潜在能力というのは、いざとなったら出てくるものではなくて、日常の何事にも全力投球することによって出てくるものなのです。 振り返ってみると、私の恩師の森安信雄先生(編集部注:筆者が日本大学医学部へ入学後に師事した当時の教授)が「自分に厳しく、人に厳しく」と言っていたことは確かな指摘でした。私はずっと「人に厳しく」というのは何かの間違いではないかと思っていたのですが、「人に厳しく」することは人に期待することなのです。 期待するからこそ、弱点を見つけ指摘してあげることができるのです。それが本人の潜在能力を高めることにも繋がります。それこそが本当の優しさと言っていいのかもれません。そういう優しさを持ちながら、未来を担う子どもたちを1人でも多く育てていきたいと思うのです。 人間の気持ちと本能が作用すると「こころ」が生まれる。パリオリンピックでは、美しい演技を提唱する選手が現れてきました。美しい気持ちと美しい本能は、美しい「こころ」を生み出してきます。美しいこころを持った人は、誰からも好かれ、素晴らしい運を掴むことになります。 オリンピックは、4年の一度の世界一を決めるスポーツ大会です。その中で、美しい演技で、美しいこころを生み出し、素晴らしい運をもたらすことは、最高のパフォーマンスです。 ---------- 林 成之(はやし・なりゆき) 日本大学名誉教授 昭和14年富山県生まれ。日本大学医学部、同大学大学院博士課程修了。マイアミ大学医学部、同大学救命救急センターに留学。平成3年日本大学医学部附属板橋病院救命救急センター部長に就任。27年より同大名誉教授。脳科学をスポーツに応用し、北京オリンピック競泳日本代表の北島康介選手らの金メダル獲得に貢献した。著書に『〈勝負脳〉の鍛え方』(講談社現代新書)、『脳に悪い7つの習慣』(幻冬舎)など。 ----------
日本大学名誉教授 林 成之