一度は登りたい「広大な山頂」が絶景の山3選! 眼下の眺めも良いけれど、頂上エリアこそ見どころ「現地レポ」
■硫黄岳(いおうだけ・標高2,760m)
長野県に位置する硫黄岳は八ヶ岳連峰の一座で標高は2,760m。八ヶ岳は南は編笠山(あみがさやま)から北は蓼科山まで南北30kmあまりの山塊で、北と南に分けられるが、硫黄岳は南八ヶ岳に属している。 紹介するコースは桜平ゲートからオーレン小屋を経由し、硫黄岳へと登るコース。危険箇所と呼べるような場所はなく、登山道も整備されていて道迷いの心配もなく初心者でも歩きやすい。 桜平から夏沢鉱泉(なつざわこうせん)までは林道歩き。夏沢鉱泉から登山道となり、シラビソの樹林帯を1時間5分ほど歩くとオーレン小屋だ。 オーレン小屋から硫黄岳までは2本の登山道が延びており、どちらから向かっても所要時間は同じで、1時間25分だ。今回は夏沢峠(なつざわとうげ)を経由するコースを紹介する。 夏沢峠までは樹林帯が続くが、夏沢峠からしばらくすると森林限界を超える。稜線歩きは眺望が開け、景色を楽しみながら歩けるだろう。 硫黄岳の広大な山頂エリアには山頂の目印にケルンが立っている。周囲には360度パノラマが広がるが、特に南八ヶ岳方面の眺望がすばらしく、主峰の赤岳をはじめ、横岳や阿弥陀岳を一望できる。硫黄岳山頂の北側の岩壁は切れ落ちており、圧巻の景色を楽しめるのも硫黄岳の魅力だ。 【桜平ゲートからピストンコース】所要時間 桜平ゲート (0:45) →夏沢鉱泉 (1:05) → オーレン小屋 (0:25) → 夏沢峠 (1:00) → 蓼硫黄岳(0:50)→ 夏沢峠 (0:20) → オーレン小屋 (0:50) →夏沢鉱泉 (0:50)→桜平ゲート 歩行距離:約9.2km 累積標高差:登り971m 下り 971m 合計所要時間:5時間50分
■苗場山(なえばさん・標高2,145m)
苗場山は新潟県と長野県の県境に位置する標高2,145mの山だ。日本百名山の一座として名を連ねるほか、信州百名山や甲信越百名山にも選ばれている。 山頂部は約600ヘクタールの広さがあり、これは東京ドーム約128個分に相当する。湿原になっており、大小の池塘が点在し、ここが本当に山頂なのかと思わせるような穏やかな場所だ。 紹介するのは新潟県側から登るコースで、起点となるのが祓川登山口(はらいがわとざんぐち)だ。祓川登山口から苗場山までの往復の所要時間は約7時間50分。ロングコースのため、早朝の出発がマストとなる。余裕を持った行動に加え、天候や気温によっては降雪や凍結も考えられるため、滑り止めを携帯のうえ、天候に注意しながら計画してほしい。 冬季はスキー場として営業されているコース内を通り、登山道へと入っていく。序盤は鬱蒼とした樹林帯が続くが、木道が整備されている箇所が多く、比較的歩きやすい。 所々にベンチが設けられているため、適度に休憩をとりながら標高を上げていこう。 祓川登山口から約3時間、苗場山の8合目でもある神楽ヶ峰(かぐらがみね)に到着する。この辺りは起伏が緩やかで歩きやすく、また神楽ヶ峰から20分ほどの所に雷清水(かみなりしみず)と呼ばれる水場がある。非常に冷たくておいしい水だ。 雷清水を過ぎると急登になる。急ではあるが、段差の小さい階段が整備されているので歩きやすい。 やがて平坦になると、そこはすでに山頂エリア。大小の池塘が点在し、湿原ではワタスゲが群生している。標高2,000mを超える山岳地帯であるはずが、穏やかすぎる湿原が広がる 筆者が訪れた時は山頂付近がガスってしまい、視界がよくなかったが、天気がいい時は東京ドーム128個分の湿原が広がっている。湿原は散策できるよう木道が整備されているが、あまり遠くまで行ってしまうと、下山する登山道に戻るだけでもかなりの時間を要するので気をつけたい。 【祓川登山口ピストンコース】所要時間 祓川登山口 (0:25) →山頂駅(2:35) → 神楽ヶ峰 (1:20) → 苗場山 (1:15) → 神楽ヶ峰 (1:55) → 山頂駅(0:20)→ 祓川登山口 歩行距離:約13.6km 累積標高差:登り1239m 下り 1239m 合計所要時間:7時間44分
■雪の季節の前に広大な頂上エリアの絶景を見に行こう
11月にも入ると、高山では冠雪の便りが届くことも増えるだろう。山は下界よりも一足早く冬を迎え、静かになる。雪の季節が来る前に安心感に包まれる広大な大地の山へと出かけてみてはどうだろうか。 山歩 ヨウスケ(さんぽ ようすけ) アウトドアフリーライター/ブロガー。キャンプを中心に登山や渓流釣り(てんから)を楽しんでいます。 「荷物はできるだけ身軽に」バックパックひとつにまとめて一人で行動しています。
山歩 ヨウスケ