“海の砂漠化”に“プラゴミ問題”。海を守るために知るべきこととすべきこと[教えて!井植美奈子さん]
しかも海藻は、陸上のように肥料や水を与える必要がなく、周辺環境に与える影響もない。 研究によると、日本沿岸の浅瀬で海藻類によるCO2吸収量の平均値は132万トン/年と言われている。しかし、日本のCO2排出量は11億2200万トン/年。「ケルプの森の復活プロジェクト」のように海藻類を増やす取り組みを、日本も実施していく必要があるだろう。
食事一回で出るプラスチックゴミの量
また、海洋保全においてプラスチックゴミの問題も見逃せない。ゴミの漂流による海洋汚染、マイクロプラスチック化することで海の生き物への影響など、複数の問題が絡み合っている。
プラスチック問題の解決方法としてはリデュース、リユース、リサイクルと言われる中で最も大切なのがリデュース。プラスチックの使用量そのものを減らすことが何より大切だ。 「2023年の秋に、出張でパリ、ロンドン、スペインに行ったのですが、プラスチック製のものを見つける方が難しいほど、プラスチック使用量削減に本気で取り組んでいると感じました。
宿泊したどのホテルにもペットボトル入りの水は置かれていませんでいたし、カードキーも木をスライスしたものにチップが入れられているタイプ、海外の航空会社に乗れば歯ブラシも木製だったりします」。
日本ではレジ袋の有料化が2020年に始まり、エコバックを持ち歩くことが習慣化された人も多いと思う。しかし、プラスチックはまだまだ日常のそこかしこで見つけることができる。 「以前、1回の夕食のためにどのくらいのプラスチックが使われてるかを“one time plastic”として数えたことがあるんです。すぐ捨ててしまうプラスチックを並べるとタタミ2畳分ほどが使われていました。 日本ではビニールで包まれてるものをさらにビニールに入れたりしますよね。その丁寧さが仇になっていると思います。海外だと魚や肉のようなドリップが出るものも、内側がワックスコーティングされた紙の袋に入れて渡されることが多いです。海外でプラスチックトレイは見かけないので、この違いは大きな差になっているかもしれません」。