福田秀平が語るトライアウトの意義 「区切りをつけるという意味でも受けてよかった」戦力外からくふうハヤテへ
「僕は肩の問題でずっと苦しんできましたけど、(ロッテ在籍中の)最後のほうは投げることもバットを振ることもできるようになってきて、その姿を家族にもお世話になった人にも見せないといけないなと。そして(野球を)やるって決めたのなら、やっている姿を見せないとどこも興味を持ってくれないと思いました」 福田はロッテ移籍初年度の2020年6月、死球により右肩甲骨を骨折した。ケガが治りきらないままプレーしたことで肩の痛みは悪化し、結果的にはロッテ在籍の4年でわずか89試合の出場にとどまり、54安打5本塁打6盗塁と寂しい結果に終わった。 だが回復の兆しが見えたことで、「もう1回勝負したい」という思いが芽生え、トライアウト参加を決意した。 心のなかでは「これが最後かも......」という思いはあった。それでもトライアウトまでの約1カ月間は、同じく戦力外になった谷川唯人や西川僚祐らとロッテの施設を借りて練習を重ねた。また、ソフトバンク時代の先輩だった川﨑宗則とも自主トレを行ない、「もう大丈夫やん、肩」という後押しもあった。 そして迎えたトライアウト当日、福田はライトフェンスを直撃する二塁打を放つ。トライアウト直後は「1本打ててホッとした」と口にしていたが、じつは別の感情もあったことを明かした。 「あっ、(スタンドに)入らないんだと(苦笑)。やっぱり、相当パフォーマンスが落ちているのを実感しました。自分ではいいパフォーマンができると思い描いているし、ずっと追い求めているんですけど......したくてもできない歯痒さをずっと抱えていました。『しょぼいな、オレ』みたいな感じでしたね」 それでも一軍の実績があり、トライアウトでも1安打、2四球と気を吐いた福田のもとには、複数のオファーが届いた。 熟考の末、2024年度からウエスタンリーグへの参戦が決まっていたくふうハヤテへの入団を決めた。最後は社会人野球との二択で悩んだというが、「ゼロから立ち上げるチームの1年目に携われるって、こんな機会は二度とない」という思いが決め手となった。