勝つ確率が高いのは打ち勝つ野球よりも、投手力を中心とした守りの野球だ。ミスが少なく隙のないチームこそ強い【張本勲の喝!!】
投手力と守備力の重要性
三塁を守るV9時代の長嶋茂雄。華麗なる守備でチームのピンチを何度も救った[写真=BBM]
あらためて言うまでもなく、野球は得点を競い合うスポーツだ。最終的に相手チームより1点でも上回っていれば試合に勝つことができる。だからたとえ1点しか挙げられなくても相手を0点に抑えれば勝てるし、逆に10点を挙げても11点も奪われたら負けになる。 そう考えると、どうしても打って得点を多く取ることに力を入れたくなるが、いくら打ってもそれ以上に得点されたら意味がないから、相手に得点を与えない、投手力を中心とした守りの野球も同じように大事なのである。つまり攻撃と防御のバランスが重要ということだ。 「張本さんが監督になったら、やはり打撃を重要視して、強力打線のチームをつくりますか?」 これまで何度も聞かれた質問だが、私の答えはノーだ。現役時代は日本記録の通算3085安打、首位打者7回とバットで結果を残した私だからそう聞かれるのだと思うが、とんでもない。もちろん打てるチームに越したことはないが、それ以上に私が重視するのは守りの野球だ。得点を奪う攻撃ではなく、得点を与えない防御に力を入れる。打ち勝つチームよりも、守り勝つチームをつくるだろう。なぜなら、そのほうが試合に勝てる確率が高いからだ。 “打線は水もの”とよく言われる。打線が爆発して大量得点を奪えばベンチもファンも盛り上がるが、そんな試合は続かない。2ケタ得点の次の試合に完封負けはよくあることで、それだけ打線は当てにならないということだ。やはり勝負のカギを握っているのは投手なのだ。攻撃と言えば打者のイメージが強いが、先に攻撃を仕掛けているのはボールを投げる投手のほうなのだ。その投手が好調なら打者はなかなか手が出ないし、得点も入らない。 それは歴史も証明している。巨人のV9(1965~73年)、その後の阪急の3年連続日本一(75~77年)、また・・・
本文:2,421文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
週刊ベースボール