セレッソ大阪がフォルランを獲得した本当の理由
■インテルナシオナルの経営悪化も追い風 フォルランが所属していたインテルナシオナルの経営状態が悪化し、高年俸がネックとなっていたことも追い風となった。交渉が急ピッチで進んでいく過程で、岡野社長はウルグアイ代表でフォルランと長くコンビを組み、今シーズンのプレミアリーグにおいて出場20試合で23ゴールと脅威のペースで得点王争いのトップを独走するFWルイス・スアレス(リバプール)と柿谷をダブらせていた。 「タイプ的には同じだけど、スアレスは1点取れば2点、3点と貪欲に狙ってくる。ウチの8番(柿谷)は1点取ると遊んでしまう。世界的にも通じる技術レベルの持ち主なんだけど……、本人はそう思っていないかもしれないけど、やっぱり甘いですよね。これは私たちの誰にも教えられないこと。フォルランという本当のプロの心を、特に8番には間近で勉強して感じて欲しい。そのためにお金を出して獲得した」 ■クルピ監督が柿谷に苦言 柿谷が練習への遅刻を繰り返した2009年6月に、当時J2の徳島ヴォルティスへ期限付き移籍させ、2年半に及ぶ武者修行を命じたクルピ前監督は昨シーズンの途中、柿谷の類稀な得点センスを含めた潜在能力が開放されていくことを認めた上で、こんな苦言を呈していた。 「ときとして、試合の流れから消えてしまうことがある」 柿谷はJ1で、ハットトリックを達成していない。昨シーズンは複数ゴールを4度数えたが、淡白なプレーに終始することも少なくなかった。7度の複数ゴールを記録し、26ゴールで初の得点王を獲得したFW大久保嘉人(川崎フロンターレ)が見せた、貪欲さや執念とは対極の位置にあったと言っていい。 ■育成のセレッソがなぜ大物を獲得したのか 柿谷を筆頭として傘下のユースチームから続々と逸材を輩出してきたセレッソは昨年のJリーグアウォーズで、最優秀育成クラブ賞を受賞している。岡野社長が苦笑いしながら続ける。 「育成のセレッソが、なぜビッグネームを獲得したのかと、あらゆる方から聞かれます。でも、フォルランと一緒にプレーすることもまた育成なんです。フォルランは人格者と聞いていたけど、住居などに関しても特別な要求はいっさいない。本当にこちらが拍子抜けするくらいですわ」