セレッソ大阪がフォルランを獲得した本当の理由
フォルランのファンを自任するセレッソの岡野雅夫社長も、フォルランと柿谷が同じピッチでプレーすることで発生する「化学反応」を思い描いている。 ■岡野社長自らが極秘に獲得に動く Jリーグの理事を務める同社長は、フォルランがカウンターと直接FKから2ゴールをあげた昨年8月の日本代表との国際親善試合を、宮城スタジアムで観戦したことが契機となって獲得を決意した。すでにレヴィー・クルピ前監督以下の首脳陣と、強化部を全面刷新する人事を決めていたため、自らが極秘に動いて語学に堪能な日本人のエージェントを手配し、フォルランサイドに接触を試みた。 「フォルラン獲得プロジェクト」はセレッソの前身かつ出資企業で、岡野社長自身も長く勤めたヤンマーの山岡健人社長だけに報告されていた。徹底したコストカットと、4万7000人を収容できる長居スタジアムの使用試合数を2013年シーズンの「8」から「12」に増やすことで生じる入場料収入増との相乗効果で、6億円(推定)とされるフォルランの年俸をまかなえると山岡社長を説得した。 ■女性ファン「セレ女」の増加もフォルラン獲得に貢献 柿谷効果もあって「セレ女」と呼ばれる女性ファンが急増したセレッソは昨シーズン、クラブ史上最多となる約36万人の観客動員を達成。入場料収入が前年比122%増となる6億円強に伸び、今シーズンは52万人を見込めるという試算も、岡野社長の決断を後押しした。 「経営は期待感ではできない。確信がないとね。年末にエージェントから『これからフォルランの代理人に会いに行く』とメールが入ったときに、一気に近づいたと思いました。フォルラン自身が過去に4度来日していて、すべてがオーガナイズされ、治安もいい日本の環境に好意を抱いていた。年明けにはフォルランの代理人と兄が交渉のために来日しました。大阪のマスコミに隠すのが大変でしたけどね(笑)」