【試乗】ルノー・アルカナに「アルピーヌ」風味が加わって洗練! 新モードも追加されたので早速乗ってみた
パワーはないのに「速い」と感じるルノー
そうこうしているうちに(借り物だが)我がルノー・アルカナesprit Alpine E-TECHフルハイブリッドは高速道路へと至り、高速巡航と、それに伴う高速コーナリングを順次続けていく。その際に覚えるのは「あぁ、ルノーだなぁ」という感慨だ。 「あぁ、ルノーだなぁ」という感慨をもう少しだけ分解して申し上げると、「さして強力なパワーユニットを使っているわけでもないのに、妙によく走る」ということだ。 アルカナesprit Alpine E-TECHフルハイブリッドが搭載するパワーユニットは、最高出力94馬力/最大トルク148Nmの1.6リッターガソリンエンジンと、同49馬力のメインモーターおよび同20馬力のサブモーターでしかない。システム最高出力はわずか143馬力である。 であるにもかかわらず、アルカナは“速い”クルマだ。もちろん300馬力超級スポーツカーのような速さとは種類が異なるが、実用回転域での巡航状態からわずかにアクセルペダルを踏み込めば、ドライバーのイメージや生理にまったくもって忠実に、必要十分な力が湧き上がる。そしてステアリングホイールと荷重を少しだけ操作すれば、これまたドライバーのイメージと寸分たがわぬ場所へとクルマが動いていく。 それらが積み重なった結果として──ついでにいうと、ややソフトでしなやかな乗り心地と、お尻と背中をしっかりホールドしてくれるシートの恩恵もあって──ルノーのクルマは「(比較的低出力であっても)速い!」と感じられるのだ。そしてその感慨は、最新世代のフルハイブリッド車であるesprit Alpine E-TECHフルハイブリッドにおいても変わるところはなかった。このあたりの「シャシーはエンジン(パワーユニット)よりも速く」といったニュアンスこそがルノー車のもち味であり魅力であると、個人的には思う。 強いていうならば、タイヤ&ホイールは19インチではなく18インチのほうがルノー車のキャラには合っているのでは? とも感じたが、このあたりは個人差も大きいだろう。19インチの感触でも「何ら問題ない」という人もいるだろうし、むしろそちらが多数派かもしれない。 ドライブモードは「My Sense(標準またはカスタマイズモード)」と「Sport」「Eco」の3種類。「Sport」モードでは確かにパワフルになり、ステアリングの手応えも増すが、それらは標準の「My Sense」でも普通に十分。そのため、筆者がアルカナを所有したならば、おそらくはほとんどの時間を「My Sense」で過ごすだろう。 高速巡航時は1.6リッターガソリンエンジンが主役となって走ることになるが、追い越しなどの「ここぞ!」というシーンではモーターによるアシストがすかさず入るため、かったるさのようなものは皆無。ドイツのアウトバーンにもち込んだときにどうなるかはわからないが、少なくとも日本の高速道路および幹線道路においては、アルカナesprit Alpine E-TECHフルハイブリッドは「痛快に走ることも、穏やかに走ることも可能な万能車」であると感じた。 そして、SUVゆえに当然ながら人や荷物を載せることも得意としており、さらには「クーペSUV」ということもあって、いわゆる色香のようなものを味わうこともできる。 そんな万能車であるルノー アルカナesprit Alpine E-TECHフルハイブリッドを、主には痛快気味に走らせてみたうえでの実燃費は、表示によれば17.8km/L。CセグメントのSUVとしては「きわめて良好」と評していいだろう。 もしもあなたが日本における適度なサイズ感と程よい色香、そして心地よい走りと省燃費性能を両立できる何らかのクルマを探しているのであれば──マイナーチェンジ後のルノー アルカナに注目しない理由がない。
伊達軍曹
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