“これまで誰もできなかった”にこだわるが、“しょせん人気取り”と見透かされた 岸田首相が最後の望みをかけた憲法改正戦略
国会で3分の2の賛同を得るハードルは
解散権を縛られるどころか参院選敗北後の退陣を想定されたうえでの総裁選再選とは、完全な敗戦処理担当。なんともナメられた扱いだが……。 「仮定の、さらに仮定の話とはいえ首相の耳にそういった内容のことが入っているのかもしれません。憲法改正を強く意識した動きは、そのような外部の声に対する首相の牽制球だという指摘もありますね」(同) 岸田首相は7日の会合で、「国民投票を行う際には自衛隊の明記と緊急事態条項を問いたい」と主張したわけだが、そもそもその可能性はあるのだろうか。 「国民投票を行う前に国会で3分の2の賛同を得る必要があるわけですが、これはそこまでハードルは高くないのではと見られています。公明党の強い反対が想定されますが、山口代表や婦人部が反対しても、支持母体の創価学会中枢は時代のリアリティを踏まえ、賛成の立場のようで、公明も最終的には賛成に回る可能性があります。加えて維新や国民民主らも基本的には賛同の立場でしょうから、やはり国民投票が最大の関門でしょう」(同)
政権の軸足・基盤がしっかりしていないと
実際にそこまで岸田首相が歩を進められるのだろうか。 「首相は来年に自民党が結党70年を迎えることを踏まえ、憲法記念日の5月3日をひとつのめどにしていたのではないかといった声もありますが、やはり現実的ではなかったようですね。憲法改正というテーマは政権の軸足・基盤がしっかりしていないと無理。安倍首相ですら手がつけられなかったのです。この点、岸田首相は弱く、政権の人気取りのためにテーマを利用しているのではないかと国民に見透かされればうまく行くものも行かなくなる。首相は“これまで誰もできなかったこと”にこだわりを見せているようにも映りますが、それだけだと難しいのかもしれません」(同) 憲法改正に関して永田町では、「一度国民投票にかけて否決されればその後20年、改正は無理になるだろう。それくらい大きなイベントだ」と言われているのだという。今回の退任でそれは今後に引き継がれたということになる。 デイリー新潮編集部
新潮社