【毎日書評】新しい時代を生きぬくことができる人材「日本人3.0」の特徴とは?
少子化による人口減少と超高齢化社会化、産業力の低下、デジタル化への適応不全、社会インフラの老朽化、政治不振など、現在の日本は多くの課題に直面しています。 したがって、『日本人3.0 - 新しい時代のルールと必須知識』(小笠原泰 著、ワニブックスPLUS新書)の著者が日本のことを、世界的にみて「最先端課題解決実験国家」と表現していることも充分に理解できるのではないでしょうか。 他の先進国の政治家は、「日本がうまく生き延びれば、緊縮財政なしの無痛改革もできるかな」と思うかもしれない。そういう意味で日本はいわば、世界の「炭鉱のカナリア」。リスクはあまりに多すぎるので、今後の日本が進むべき道について考えることはとても重要だということです。 とはいえ、「日本という国家をどうするか」について論じるのは簡単なことではありません。そこで本書は、国ではなく個人にフォーカスし、「将来に開いた日本人とは」というテーマを設定しているのです。 本書のタイトル・テーマである「日本人3.0になる」とは、今後も続く変化の激しい不確実な環境に適応して、個人の多様性と個性を前提に、自らの進むレールを敷いて、自己投資を通して自分を成長させ、変化の荒波を泳ぎ切ることです。 そしてその結果として、「今後の激しい変化を生き抜けること」と「社会の進歩のエンジンになること」が、「日本人3.0になる」ことのメリットといえます。(「はじめに」より) 一方、「日本人3.0にならない」とは、政府や社会の敷いた「ふつうという名のレール」をみんなで走るのがいいという、個人の判断停止を求める暗黙の了解・圧力を受け入れること。しかし、その結果どうなるかはいうまでもないことです。 そこで序章「『最新』の日本人になれる人、なれない人」のなかから、旧来の日本人と「日本人3.0」との差を確認してみたいと思います。本書では戦後の日本人を、「日本人1.0」「日本人2.0」、そして「日本人3.0」に分類しているのです。