トランプ氏の「バイデンより倒しやすい発言」「CM攻撃」は恐怖の裏返し? ハリス氏の“強さ”と“弱点”に迫る
━━ハリス氏はどんな人物か? 「ハリス氏は59歳。黒人・アジア系としても、女性としても初の副大統領だ。もし、民主党の候補になって秋の選挙でトランプ氏に勝利すれば、ヒラリー・クリントン氏がなし得なかった女性初のアメリカ大統領となる。ハリス氏にはカリフォルニア州で検事を務め、上院議員にもなった経歴があるが、政治経験は浅く、副大統領として目立った実績を挙げられなかったことから、評価は必ずしも高くなかった。しかし、バイデン氏がテレビ討論会で“失敗”した後、バイデン氏に代わる候補者として民主党内で待望論が高まった」 ━━ハリス氏の他に候補はいないのか? 「ハリス氏で決まったわけないが、バイデン氏から後継として推薦を受けたハリス氏が最有力であることは間違いない。ハリス氏は現職であるバイデン氏の推薦を得たことで、党大会に全米から派遣される代議員の支持を得やすくなり、また、『バイデン・ハリス陣営』として集めた巨額の献金を自身の選挙資金として使うことが可能となる。民主党内ではニューリーダーとされる人物もいるが、視線は4年後の2028年を向いている。現在の混乱した状況でトランプ氏と戦うのはリスクが高く、共和党の勢いを止めるにはハリス氏で一本化することが最善と考えているようだ」 ━━今後、民主党はどういう流れで候補者を決めるのか? 「本来は各州での予備選を戦い勝ち残った人を候補者とするが、バイデン氏が降りたことでそのプロセスが消えてしまった。また今回、民主党はオハイオ州の投票用紙を巡る特殊な事情から、『党大会の前にオンラインで候補者を指名しよう』と5月に決めており、その具体的なルールを今週決めることになっていた。これらの事情から、今後8月1日~7日までのオンライン投票で決まるか、あるいは8月19日からの党大会で決めることになるかはわからない。だが、ハリス氏がどのような形で選ばれるにしても、民主党の支持層や国民に対してオープンで透明性のあるプロセスを示す必要がある。その設えをどう整えていくかが民主党の課題だ」 ━━トランプ氏はハリス氏についてどのように発言しているのか? 「トランプ氏は自身のSNSに『民主党が今後、誰を擁立しても同じことの繰り返しだ』と投稿し、CNNの記者には『ハリス氏の方がバイデン氏よりも倒しやすい』とも言っている。だが本音は『このままバイデン氏が相手だったほうが良かったと』と考えているだろう。共和党関係者も『バイデンがもう少し粘ってくれると思っていたのに』と恨み節をこぼしている。トランプ陣営は早速ハリス氏を標的にしたCMを流し始め、『ハリス氏はバイデンの衰えを知っていたのに隠していた』『不法移民の急増はハリスに責任がある』と攻撃している。ハリス氏は副大統領として移民問題・国境対策を担当していたものの、ここ3年で移民が過去最多を更新している。今後、共和党は特に移民問題でハリス氏を攻撃すると思われる」