池松壮亮「感性に共感できた」 奥山大史監督の商業デビュー作「ぼくのお日さま」出演に胸張る
大学在学中に制作した「僕はイエス様が嫌い」で第66回サンセバスチャン国際映画祭の最優秀新人監督賞を受賞した奥山大史が監督、脚本、撮影、編集を手掛けた商業映画デビュー作「ぼくのお日さま」の先行上映舞台挨拶が9月7日、東京・TOHOシネマズシャンテで行われ、奥山監督をはじめ、出演する越山敬達、中西希亜良、池松壮亮が出席した。 【オフショット】カンヌで奥山大史監督が撮った池松壮亮×越山敬達×中西希亜良の弾けるような笑顔 雪の降る田舎町を舞台に、吃音をもつホッケー少年のタクヤ(越山)と、フィギュアスケートを学ぶ少女さくら(中西)、夢に敗れた元フィギュアスケート選手でさくらのコーチ荒川(池松)の3人の視点で、雪が降り降り始めてから、解けるまでの、淡くて切ない恋の物語を描く。2024年・第77回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に、日本人監督としては史上最年少で選出された。 奥山監督はプロットの段階で、池松に出演オファーしたと明かし「まず池松さんにお声をかけて、出ますと言ってくださった。それ以来、共犯関係として信頼し合って、並走し続けてくれた」と感謝を示した。 池松も当時を振り返りながら「お手紙をいただき、その最後に『いまだからこそ、優しい映画を作りたいんです』とまっすぐな気持ちが書かれていて。実際その通りになった」と作品を絶賛。さらに「この現実世界を映画でカバーしていく、奥山さんの感性に共感できた。新たな時代に向けた、雪解けのような映画を作ってくれたことに、心から感謝しているし、一緒に作り上げたことは誇り」と胸を張った。 また、共演した越山と中西については、「監督のひと言でムードやエモーションをつかむのがうまく、日々感動していた。ふたりとも可能性のかたまり」と、若い才能に賛辞を送った。 舞台挨拶には、映画タイトルの由来となった楽曲「ぼくのお日さま」で知られる音楽デュオ「ハンバート ハンバート」の佐藤良成と佐野遊穂が同席した。奥山監督はプロットを考える中で、同曲と出合い「映画を作ってみたいなと思った」と述懐。一方、「ハンバート ハンバート」にとっては、これまで主題歌オファーがあっても断ってきたほど大切な楽曲だったが、奥山からの手紙を読んで、オファーを快諾したという。 本作の劇伴も担当した佐藤は「手紙を読んで、奥山監督の熱意と真剣さ、誠実さが伝わってきた」と振り返り、佐野も「以前もいろいろお誘いいただき『どうかな?』みたいなことが多かったが、今回は奥山監督のすごく強い気持ちが伝わった」とオファー快諾の理由を語った。 そんなふたりの言葉を受けて、奥山監督は「プロットを書いている段階から影響を受けていたので、この曲をエンドロールでかけられないなら、企画は成立しないと思った」と楽曲に対する思い入れを語り、「快諾のお返事をいただき、うれしかったし、やっと商業デビューできるという安どの気持ちがあった」と感謝していた。 「ぼくのお日さま」は9月13日から全国公開される。