若者全員が投票に行っても高齢者の票数に及ばない…老化ニッポンの「厳しすぎる現実」
菅首相は71歳、フィンランドの首相は34歳で就任
こうした現状を打破し、若い世代の意見を政策に反映させるには、20代や30代の代表を必ず国政に送り出すことのできる仕組みを考える必要があるだろう。 「年齢枠」を設けずに20代、30代が立候補しても当選できる保証はない。だが、若い世代の「年齢枠」を設けたならば、若い世代も必ず当選できるようになる。そこで、20代だけが立候補できる「20代枠」や、30代だけが立候補できる「30代枠」の創設を、私は提言したい(参議院議員選挙は被選挙権が30歳以上なので、「30代枠」のみとなる)。 「年齢枠」を創設したからといって、20代や30代が従来の「選挙区枠」「比例代表枠」で立候補することを妨げるものではない。だが、「年齢枠」で出馬した候補者が他の枠から重複立候補することはできないようにする。 「20代枠」「30代枠」に対しては、すべての年代の有権者が投票すれば、一票の格差といった問題は生じない。例えば、高齢有権者も「20代ならばこの候補者に投票しよう」「30代ならばこの人に託そう」といった具合に投票するのだ。 若い世代が国会議員として国会の論戦に参加できるようになれば、若者の声が政策に反映されやすくなる。若い世代特有の「表面化しづらい問題」も即座に国会論戦に取り上げられるようになり、「シルバー民主主義」の是正も図られる。 ちなみに、フィンランドのサンナ・マリン首相が就任した時の年齢は34歳であり、政権発足時の閣僚の平均年齢は47歳と若い。また、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、37歳でその職に就いた。 これに対して日本の現状はというと、菅義偉首相の就任時の年齢は71歳であり、菅内閣発足時の閣僚の平均年齢は60・4歳、自民党4役の平均は71・5歳である。政権中枢にいる麻生太郎副総理・財務相と二階俊博自民党幹事長はともに80代である。いくら「政治家は能力さえあれば、年齢は不問」とはいえ、「老壮青」のバランスをあまりに欠いている。 若くして国政に籍を置く議員が増えれば、首相や閣僚、与党幹部といった重責を担う議員の年齢はもっと下がってくるだろう。