史上初めて44秒台選手同士が日本選手権で対決 男子400mを国際レベルへ押し上げる“ダブル佐藤”【日本選手権プレビュー】
陸上競技の男子400mが盛り上がっている。昨年日本記録の44秒77をマークした佐藤拳太郎(29、富士通)と、日本歴代3位の44秒88で走った佐藤風雅(28、ミズノ)が日本選手権(6月27~30日、新潟)で激突する。2人ともパリ五輪参加標準記録(45秒00)を突破済みで、優勝すれば代表に内定する。標準記録突破者は3位以内でも7月上旬に代表に選考されるが、2人は“勝ち”にこだわる。その姿勢が日本の400mを世界レベルへ押し上げるからであり、選手の競技人生に大きく影響する大会へのリスペクトがあるからだ。 2人にとって今年の日本選手権が持つ意味とは? 【写真を見る】史上初めて44秒台選手同士が日本選手権で対決 男子400mを国際レベルへ押し上げる“ダブル佐藤”【日本選手権プレビュー】 ■前半は佐藤風がリードする展開か? 日本人44秒台ランナーは歴代で3人しかいない。44秒78の前日本記録保持者の高野進と“ダブル佐藤”である。2人が初めて44秒台を出したのは昨年8月の世界陸上ブダペスト大会なので、日本選手権に44秒台ランナー2人が出場するのは今年が初めてとなる。 2人の対決は、佐藤風が先行することが予想されている。 昨年の世界陸上の100m毎の通過タイムを日本陸連が計測している。佐藤風の44秒88(準決勝2組)の200m通過は21秒09で、佐藤拳の44秒77(予選1組)は21秒71だ。ちなみに前日本記録保持者の高野が44秒78を出した時、200m通過は21秒3だった。 佐藤風は通過タイムからもわかるように、前半のスピードを上げることで400m全体の記録を向上させてきた。日本選手権での自身のレース展開を、6月上旬には次のように話していた。 「しっかりとしたイメージを持って、リラックスした前半の走りで去年以上のスピードを出すことを考えています。やみくもに21秒0台を目指すと力みが生まれやすい。前半を気持ち良く行くのは好記録を出すときの前提条件なので、それが結果的に20秒台の通過タイムになればいいな、という気持ちはあります」 一方の佐藤拳は200mを、どういった考え方で通過したいのだろうか。