「目玉」をパブリックアートにつけるいたずらがオレゴンで頻発。市民は歓迎、自治体は困惑
アメリカ・オレゴン州ベンド市では、25年前に同市が急成長を遂げる中、交通渋滞を解消するために市内各所にロータリーを設置し、その中央の空きスペースなどにパブリックアートを置く「ラウンドアバウト・アート・ルート」プロジェクトを実施してきた。現在、同市には50のロータリーがあり、そのうち27カ所にはアート作品が設置されている。 【写真】「目玉」のパブリックアートはこちら そんなパブリックアートに「目玉」をつけるいたずらが頻発していると地元メディアのThe Oregonianが伝えた。12月5日、ベンド市当局はInstagramの公式アカウントでこのいたずらについて言及し、「街中のさまざまなアート作品に置かれた大きな目玉は思わず笑ってしまうかもしれませんが、アートを傷つけないよう注意してそれらを除去するには費用がかかります。作品に花輪やサンタ帽は見て見ぬふりをしますが、接着剤や落書きなどアートを傷つける可能性のあるものは全てやめてください」と呼びかけた。 ベンド市の広報担当官であるルネ・ミッチェルによると、目玉の接着剤が彫刻の金属コーティングを傷つけ、再塗装や再コーティングが必要になる可能性があり、青銅の彫刻の場合、傷がつくと青緑色の腐食につながることがあるという。これまで8作品に目玉が貼られており、それらを撤去するのに1500ドル(約23万円)の費用がかかったと別途発表された。 地元住民はこのいたずらについて、「少しの接着剤では傷つかないだろう」などと擁護する意見が多く、中には「このギョロっとした目のおかげで、毎日前進する希望が湧いてきます」というものもあった。 アートネットがミッチェルにコメントを求めたところ、「私たちは、目玉の件を巡って地域社会がアートに関わり、楽しんでいることを本当に嬉しく思っています。しかし、私たちは膨大な数のパブリックアートを所有しており、接着剤を使用すると作品が傷むことを地域社会に認識していただきたいです」と複雑な心境を吐露した。 目玉を貼り付けた犯人はまだ見つかっていない。市民らは様々な憶測を交わしているが、今年初め、ボストンの交通当局が電車に目玉を貼り付けるファンサービスを行っており、それに触発された人物なのではないかと言われている。
ARTnews JAPAN