ナイキ製靴損壊で負傷の全米大学バスケットスターが復帰果たすも話題はやはり“あの問題”
NBAドラフト前に全米が最も注目しているプレーヤーでありながらナイキ製シューズが破損した影響で膝を故障したデューク大のザイオン・ウィリアムソン(18)が14日(日本時間15日)、ACCトーナメントの準々決勝となるシラキュース大戦で22日ぶりに復帰。29得点、14リバウンド、5スティールの活躍を見せチームは84対72で勝利した。 ワシントンポストが「完璧に近いアメージングな復帰」と絶賛するなど、6月のNBAドラフトでの1巡目指名が確実と言われるスターの実力になんら影響は見られなかった。 全米メディアが注目したのは、やはりシューズ問題。試合後の会見の最初にとんだ質問も「シューズはどうだった?」というものだった。ウィリアムソンは「靴は素晴らしかった」と答えたという。 2月20日のノースカロライナ戦で裏部分がベりっと剥がれるなどして壊れたナイキ製シューズは、インディアナ・ペイサーズで活躍、現在、オクラホマシティ・サンダーでプレーしているポール・ジョージのモデルである「PG 2.5」だったが、今回は以前、履いていたデューク大OBでNBA新人王、リオ五輪のドリームチームに選ばれるなどしているボストン・セルティックスのカイリー・アービングのモデル「Kyrie 4」に戻している。またUSAトウデイに、マイク・シャシェフスキー監督が説明したところによると、ナイキは、前回の問題が起きた翌日に大学に特別チームを派遣して原因を追究。さらに新しいシューズの製造過程をチェックするために工場のある中国へ会社のトップを送り込んで通常の「Kyrie 4」から強度を増した特別バージョンのシューズを製造、万全を期してウィリアムソンに提供したという。 会見でウィリアムソンは具体的な改造ポイントについても質問をされたが、「できれば、その点については具体的には話したくない。ただ通常のKyrie 4よりも少し強化されたということは知っている。作ってくれたナイキに感謝したしとても快適に感じた」と答えている。 シャシェフスキー監督は、ウィリアムソンが約129キロの体重のため「消耗も激しいんだと思う。今後は頻繁に新しいシューズに交換するだろう」と今後の対策についてもコメントしている。 米メディアの「ブルームバーグ」によれば、ナイキはデューク大に対して年間、数億円のスポンサーフィーを払っているという。それだけの投資をしているナイキにとっても、莫大なフィーを受け取っている大学側にとっても、ウィリアムソンのシューズ問題が解決したことは、復帰と同時に喜ばしい出来事だったのかもしれない。 また次代のNBAスター候補とされるウィリアムソンの復帰に関しては、「NBAドラフトまでもう無理をして試合に出る必要はない。また怪我をしたらどうするんだ?」という声が、NBAの現役選手や関係者から湧きおこり、一方でレイカーズの“レジェンド”コービー・ブライアントが、「大学進学を選んだ以上、大学で復帰して試合に出るのが筋だ」と反対意見を語るなど、復帰問題は論争にも発展していた。 だが、ウィリアムソンが選んだのは後者で、残り試合をキャンセルしてNBAドラフトに備えることはしなかった。 その問題についても試合後にウィリアムソンは全米のスポーツ専門メディア「ESPN」の取材に対して「私はこのゲームとチームメイト、デューク大が大好きなんだ。だから私が戻ってくることはないと思っていた人たちは、ちょっと賢くなかったね。復帰できて本当に良かったよ」と答えている。 ちなみにシューズ問題ではなく、この試合に対する感想としては「テニスボールを海に投げ入れるようなフリースローを決めることができなかったんだから、完璧とは言えない」そうだ。