【中学受験】直前期に「塾の言いなり」で失敗する親子と「チート作戦」で合格をつかむ親子の違い
10年、20年先の社会の変化を見据えて、子どもの教育を考え始める親が増えている。幼児から高校生まで教える人気学習塾「VAMOS」の富永雄輔代表が、教育の新潮流から、子供の学力の伸ばしかたのヒントなどを解説する。連載第5回では、冬期講習、直前講習の受け方を含めた冬季の過ごし方について語ってもらった。(進学塾VAMOS代表 富永雄輔、構成/ライター 奥田由意) 著者プロフィールを見る ● なりふりかまわぬ 受験直前「チート作戦」 年始に中学受験を控えたご家庭では、冬期講習やお正月の直前特訓などの講習をどのように受けたらいいかが気になっている時期でしょう。 そもそも、今からまだ成績は上がるのだろうか。上がるとしたらどのくらいで、そのためにはどうすればよいのか。どうしても志望校に届かない部分があるけれど、それはどのように詰めていったらいいのかーー。悩んでいる親御さんも多いかもしれません。 昨今は、Youtubeなどのオンラインコンテンツから、個別塾、家庭教師、大手塾の各種オプションメニューまで、学習サービスが充実しています。選びたい放題で頭を抱えているという親御さんもいるかもしれません。 自分の子に最適な冬季の過ごし方はどういうものか。塾の冬季講習、直前講習はどのように選ぶべきか。大手塾以外で個別指導のメニューはどのように組み合わせていくといいのか。「塾を賢く使う」方法と入試本番の直前期だからこそできる「チート作戦」についてお話していきます。 大手塾などでは冬期講習や直前講習の予告が始まっています。この時期は個別塾、家庭教師、オンラインサービスでも目移りするくらいさまざまな形式の中学受験直前対策サービスが提供されています。そうした中で、親として何をすべきか、どこに焦点を当てるべきかを見極めることが非常に重要になってきます。
● 「塾の方針に逆らう」こととは違う 子どもに合わせた選択と集中 ここで、最も大切なのは「子がどうやったら志望校に受かるのか」に集中することです。 そんなことは当たり前だと思われるかもしれませんが、意外にも「塾やその他サービスは利用されるものではなく、利用するもの」であることを多くの親御さんが見落としています。塾は確かに重要な学習のリソースですが、それはあくまでも手段であって目的ではありません。 藁にもすがる思いで、大手塾のスケジュールや課題などを全部やらせたくなる気持ちも分かりますが、お子さんの志望校合格という目標に向けて、全てのベクトルを合わせていく必要があります。 具体的には、12月頃になると子供の成績がある程度固まってきます。同時に志望校も決まってくるでしょう。この時期になったからこそ、やらなければならない課題が今まで以上に明確になっています。 小学6年生の夏までは、受験科目のすべての内容をカバーするように勉強しますが、秋からは「選択と集中」で、やらなくていいものが出てきます。4科目の成績にばらつきがある場合、単純に全ての科目に同じように時間を割くのではなく、例えば、理科や社会が得意で算数が苦手なら、理社の時間を少し削って算数により多くの時間を充てるなど、受験に向けてより効果的な即効性の高い戦略を立てる必要があります。 12月以降、特に志望校が固まってからは、塾の授業には出席しつつも、宿題の量や家庭学習の内容は、塾の言いなりにならずに調整しなくてはなりません。もちろん、この判断は簡単ではありません。あくまで、塾の先生に相談したうえで、子どもに最適な各教科のバランスで勉強を進めていきます。 塾の言いなりにならないと言っても、「塾の方針に逆らう」わけではありません。塾の先生はプロであり、お子さんが今何を重点的に勉強すべきなのかということは熟知しています。 そこで、「冬期講習の課題の比重はどうしたらいいですか」などと具体的に相談してみて下さい。出される課題の中で、子どもの個別の状況に合わせたアドバイスを得ることができます。