高須幹弥氏「悪徳クリニックが増えた」と警鐘 美容外科に即デビューする“直美”急増「埋没、糸リフトだけするマシーン軍団」
■若い医師が「埋没マシーン」「糸リフトマシーン」に
高須氏の言葉によれば「直美」は、限られた技術のみを習得し、その施術だけを繰り返しているという。「ぼったくりクリニックだと、まず『埋没マシーン』という人と『糸リフトマシーン』がいる。『マシーン軍団』とこの業界では言っている。埋没法しかできない医者を大量に作れば、それだと死亡事故とかは起きない。脂肪吸引とか豊胸手術とか、顔面の骨切り手術とかをさせると死亡事故が起きてしまうので、あえて埋没法しかさせない。埋没法だと、うまくいっていなくても最悪糸を取ると元に戻せるとか、そういうローリスクな面もある。埋没法しかできない人をたくさん作る。後は、カウンセラーがぼったくってという感じでやっているところが多い」。患者の生命に関わる大きなリスクは回避し、売り上げだけは上がる施術を繰り返すマシーンというわけだ。 同じことを繰り返せば、ある程度はできるようにもなる。「埋没法とかヒアルロン酸注入とかだと、下手くそだが、とりあえずできるようになる。それが切開と二重とか、眼瞼下垂の手術とか、顔面骨切り手術とかになると、やっぱりさらに上のトレーニングが必要になる。やっぱり美容整形の患者さんは高いお金を払ってという、お客様マインドでいらっしゃるので、いきなり練習台で高いお金をいただくということができないので、うちでは雇えないという感じだ」。 「直美」医師のレベルとはどれほどのものか。高須氏に言わせれば、専門医を取った人と比較すれば「点数だったら1点と100点ぐらい違う。埋没法を見様見真似でやっている人と、一通り手術ができる人だったら1点と100点か、それ以上の差があると思う」と切り捨てた。
■美容業界だけでなく保険診療業界にも課題
これだけ悪徳なクリニック、未熟な美容外科医がいたとしても、それでもニーズが減らないこと事態にも問題はある。「いろんな要因がある。まずSNSだ。インスタとかTikTokでみんな自撮りする。自分の顔と他人の顔を比較する機会があって、劣等感を感じる機会が増えた。だからルッキズムが助長されて整形する人が増えた。だんだん整形する人が増えてくると、以前のような『整形するというのは親の体にメスを入れるなんてとんでもない』という考え方がだんだんなくなってきて、ハードルが下がってきた」。 また、世の中の医師たちも、かつてはハードな外科医や、夜中まで働く救急に憧れる人もいたが、今はコスパ・タイパ重視にもなった。「若い人たちがコスパ重視になった。楽して稼げる、そっちの方が勝ち組だと考える若いお医者さんが増えたから、余計に美容に進む」とも述べた。 稼ぎやすい美容業界にも問題はあるが、保険診療の業界にも課題はある。仮にどれだけ医師のレベルに差があったとしても、同じ手術をした場合、収入は変わらない。また無駄な医療も多い。「まず無駄な医療というのがものすごくたくさんあると思う。例えば寝たきり高齢者をずっと入院させて、そこでベッド代を稼ぐとか、不必要な薬を出すとか、後は生活保護の人をターゲットにしてお金を稼ぐとか。実際には保健診療でやっている医療はかなり無駄が多いと思う。後、問題点としては、美容医療は自費診療なので、手術がうまくて人気がある先生は需要と供給のバランスで高い治療費を得ることができる。保険診療はどんな名医の外科医でも下手な新人の外科医でも、一つの手術をしたら同じ料金だ。あとは、うまい医者、優秀な医者ほど稼げないというシステムもある。やっぱり一発で手術で治して退院させると、それだけしか収入がない。何回も手術を失敗して、その都度入院させて再手術をすると、その都度報酬が入ってくる。そうなると、やっぱり今の若いお医者さんも賢いので、だったら合理的に稼げて夢のある美容の自費診療の方に進もうという人も多い。保険診療の方にもかなり大きい問題があると思う」。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部