「南海トラフ地震と石川能登半島地震に関連はあるのか?」京大の地震専門家が解説 ”40年以内に90%確率で発生” 地下流体が活断層に入り込んだ?【MBSニュース解説】
元日に最大震度7を観測した能登半島地震。GPSなどを用いた測量データを基に、地震や断層運動などを研究する京都大学防災研究所の西村卓也教授に聞きました。なぜあれほど多くの家屋が倒壊したのか、西村教授によりますと、大きく3つの理由があるそうです。 【画像を見る】GPSで能登半島異変を察知した教授が解説 地下流体が活断層を”刺激した?”図 ――西村先生は元々、能登半島に注視していましたね。 西村卓也教授:能登半島では2020年12月から小さな地震が頻発して、地盤の隆起も観測されていましたので、この地域で大きな地震の可能性があるのではないかと、ずっと研究をしていました。 ――GPSを使えば、地面の隆起や膨らみもわかるんですか。 そうです。1センチとか数ミリの精度で、地面の動きを把握することができます。
地震を引き起こしたきっかけは「地下の流体か」
――今回の地震発生のメカニズムは西村先生によりますと「流体の存在」だといいます。流体とは、マグマやガスを含む地下にある水で、この流体が断層に入り込んで、断層をすべりやすくすることによって活断層を刺激したのでは、と考えられるそうです。 西村卓也教授: 日本列島の下には海のプレート(東日本は太平洋プレート、西日本はフィリピン海プレート)があり、列島下に潜り込むのと同時に、流体=水も地中深くへ移動します。地中で熱せられた流体がちょうど能登半島のところに上がってきて、水が供給されている状況です。能登半島だけではなくいろんなところで流体が上がっていると考えられています。全ての地震がそうというわけではないんですが、今回のように流体が入ってきたせいで発生したと考えられる地震もいくつか見つかっています。 ――地面の奥底での現象をどのように調査するんですか。 流体が上がってきたことは、GPSによって地表の膨らみでわかったんですが、元々地下に流体があるかどうかは電気抵抗、電気を流してどのぐらい流れやすいかっていうのを地下の構造を調べることによってわかります。普通の岩石ですと電気はほとんど流れないんですけれど、流体があると電気が流れやすくなります。その差を見ながら、流体がこういうとこにあるんじゃないかというような調査がされています。 ――地下の流体は、ないと駄目なものなんですか。 流体があることで恩恵も受けていて、例えば有馬温泉は、プレートから上がってきた流体が、地表に出て温泉になっています。